- 著者
-
北畠 尚子
- 出版者
- 気象庁気象研究所
- 雑誌
- Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, pp.97-114, 2008
- 被引用文献数
-
6
台風0423号(アジア名Tokage)は2004年10月に強い勢力で西日本に上陸し、東日本で温帯低気圧化した。この台風は進路左側を含む大雨と強風が特徴であった。この台風について気象庁領域客観解析(RANAL)を用いて診断を行った。台風が西日本に上陸した際には台風は上層ジェットストリークの入り口及びトラフ下流に位置していたが、トラフは比較的弱いもので、温低化後に再発達がなかったことに整合的であった。台風の強い下層低気圧性循環が西日本に以前から停滞していた下層前線を強化し、最終的に台風はその傾圧帯で前線性低気圧に変わった。台風が上部対流圏ジェット気流に接近したことによる条件付対称不安定と、前線帯の寒気側かつ日本海南部の比較的暖かい海面上の下層条件付不安定が、台風の進路左側である西日本日本海側の降水に寄与したと考えられる。台風の中緯度での勢力や構造に対する大気海洋相互作用の影響についてさらに研究する必要がある。