著者
境 雄大
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.145-149, 2008

症例は62歳,男性。全身倦怠感と腹痛を主訴に当院を受診し,内視鏡検査で胃体上部から幽門前庭部に不整形の腫瘍があり,生検で低分化腺癌と診断された。腹部CTで胃壁が著明に肥厚し,壁外性伸展を認めた。開腹すると胃体中部から前庭部に巨大な腫瘍があり,横行結腸間膜と膵臓に直接浸潤していた。腹水貯留と大網に結節性病変を認め,術中細胞診で癌性腹膜炎と診断した。胃全摘術を行った。T4,N1,H0,P1,CY1,M0,Stage IV,根治度Cであった。胃体部大彎を中心に18.5cmの壁外性発育を示す腫瘍があり,病理組織学的には裸核状の異型細胞がびまん性,充実性に増生し,ロゼッタ様の構築を認めた。免疫組織染色はシナプトフィジンとNSEが陽性,クロモグラニンが一部陽性で,神経内分泌細胞癌と診断した。術後,遺残腫瘍が急速に増大し,第52病日に死亡した。胃神経内分泌細胞癌は稀であり,他臓器浸潤を伴う壁外性発育の症例について文献的考察を加えて報告する。

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