- 著者
-
中瀬 浩一
大沼 直紀
- 出版者
- 日本聴覚医学会
- 雑誌
- AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.6, pp.763-768, 2013
要旨: 聴能マトリクステストの教育実践上の活用の有用性を聴覚障害幼児50名147回の検査結果から検討した。その結果, 補聴閾値と本テストの素点の間には相関は認められなかった。67式20単語了解度検査と本テストの素点にも相関は認められなかったが, 1語ずつ呈示して実施する単語了解度検査から複数語の連続である文聴取検査への移行は困難を伴う場合もあることが確認できた。また, 語音聴取評価検査 「CI2004 (試案) 」 の幼児用オープンセット文検査と本テストの素点には比較的高い相関が認められた。本テストが34/40以下であれば, 素点が高ければ語音聴取評価検査 「CI2004 (試案) 」 の幼児用オープンセット文検査のキーワード正答数も多くなる傾向があるが, 35/40以上では必ずしも関係があるとはいえないことが確認でき, 既存の語音検査と併用することで相互補完的に子どもの聴取能の評価が行えることが示唆され, 本テストの有用性が認められた。