著者
簗瀬 範彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.9-20, 2011
被引用文献数
1

本研究は19世紀に作成された地籍図の面積誤差の原因を考証したものである.現在の地籍制度は,明治期の税制革改である地租改正時の土地台帳とその付属地図を淵源としている.数%からときには10%以上に及ぶ面積誤差の原因は,当事者である農民の拙劣な測量技術,重税を逃れようとする農民の計測の誤魔化し,官側の検査の杜撰さ等によるものと一般に認識されている.しかし,いわゆる「縄伸び」と呼ばれる登記簿面積と実測面積との差は,概ね官側から提示された許容範囲内にあることを地籍図に関する測量基準の分析から明らかにした.併せて,分筆対象の筆全体を実測なしに分筆する制度が長らく行われたことや農地改革に伴う国有地解放なども地籍図における面積誤差の原因の一部であることを指摘しておきたい.

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