著者
小池 朋孝 上田 康久 横山 美佐子 辺土名 隆 芝原 美由紀 川端 良治 岩松 秀樹 佐藤 優子 遠原 真一 安達 まりえ 広瀬 真純
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.369-369, 2003

はじめに<BR>呼吸理学療法(CPT)において、特に肺理学療法と呼ばれる用手的排痰手技は、痰の喀出、1回換気量の増大など、その場での効果の報告は良く見受けることができる。しかし、急性期における介入がどの程度の効果をもたらすかという報告は、特に小児急性期には見当たらない。当院では、小児呼吸器疾患重症例にCPTの適応、不適応を検討し、必要な場合にCPTを展開している。今回、小児急性期呼吸疾患により重度呼吸不全を呈した症例に対し、第1病日から医師、看護師、理学療法士から構成される小児CPTチームに参入し、CPTの適応、不適応を検討し、必要な場合にCPTを展開した症例を数例経験した。小児集中治療室(PICU)入室日数、入院日数、再悪化、再入院、人工呼吸器管理中の肺機能の肺コンプライアンスの指標として人工呼吸器の最高吸気圧(PIP)、酸素化の指標としてPaO<SUB>2</SUB>/Fi O<SUB>2</SUB>(P/F比)の推移を数値化し、一定の傾向が見られたので考察を交え報告する。<BR>症例1:1歳男児 クループ 肺炎 二次合併症として気胸を呈する<BR>症例2:6歳女児 ARDS<BR>症例3 4歳女児 ARDS<BR> 気管支喘息以上の3症例に対し可能な限り、早期から参入し、医師、看護師との相互の情報交換によりCPTの施行・非施行を判断し、必要な場合には適宜CPTを行うこととした。抜管後も、吸入時の呼吸介助、用手的排痰法を行い、一般病棟入院中家族指導、退院後外来フォローを行った。<BR>結果<BR>PICU入室日数、入院日数に関しては、病態の相違もあり一定の傾向は見られなかった。再度悪化し、一般病棟から、PICU管理となった症例や、人工呼吸器PIPを上げなければならない症例は認めなかった。P/Fについては悪化の傾向は見られなかった。退院後数ヶ月以内の再入院患者はいない。また、脳血管障害などの二次的合併症を生じた症例はいなかった。<BR>考察<BR>小児呼吸器疾患急性期の呼吸管理において、理学療法士が早期から介入することによる悪影響は示唆されなかった。また、医師、看護師との連帯を密にし、病態理解に勤め、適切な手技を選択することにより、肺二次合併症の予防、治療、肺のコンディションの維持につながると思われた。病態の理解により、CPTが急性期呼吸管理に有用であると示唆され、状態の換気力学的な解釈などの観点から理学療法士の介入に意義があると思われる。

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