著者
板谷 麻美 岩本 久生 小林 亜紀子 金澤 浩 白川 泰山 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.524, 2003

【目的】足関節腫脹の評価は、健側と比較して行われることが多いが、そこに本来左右差があれば比較の対象にならないのではないかと考えた。 そこで今回、健常者の足部・足関節に左右差があるかを明らかにすること、ならびに、腫脹の評価法の客観性を確認することを目的とし、基本的な測定を行った。【方法】対象は、足部・足関節に腫脹を残す疾病及び外傷の既往や現症のない者18名(男性3名、女性15名)36足。年齢(平均±SD)は、25.2±6.8歳、身長は158.1±8.0cm、体重は50.0±5.5kgだった。 (1)水槽排水法(Petersenら、1999)は、排水口まで温水を入れた特製の水槽に足を入れる。この時水槽から溢れ出た水量をメスシリンダーで測定する。 (2)Figure of Eight法(Estersonら、1979)は、代表的なメジャー測定法として用いられている。まず、メジャーをTA腱と外果の中間から内側方向へ伸ばし、舟状骨結節遠位を通り、アーチを横切って第5中足骨骨底の近位を廻り、TA腱に戻る。次に、内果の遠位端からアキレス腱を通り、外果の遠位端を廻り、再びTA腱へ戻し、以上の距離を測定する。 独自の方法として、メジャーを使い(3)内果及び外果の遠位端、(4)舟状骨結節と第5中足骨骨底、(5)第1中足骨骨頭と第5中足骨骨頭を通る値を測定する。 それぞれの測定値の左右差を算出し、差の検定には対応のあるt検定を用いた。また、(1)の測定値と(2)-(5)の測定値の相関係数を算出した。危険率は5%未満を有意とした。【結果】左右差(左-右)は(1)9.54±14.33mL(p=0.01)、(2)0.26±0.54cm(p=0.06)、(3)0.06±0.46cm(p=0.61)、(4)0.03±0.23cm(p=0.64)、(5)0.01±0.37cm(p=0.95)であり、いずれも左が大きかった。 (1)と(2)-(5)の相関係数(r)は、(1)vs(2) 右:0.95、左:0.96、(1)vs(3) 0.91、0.96、(1)vs(4) 0.91、0.92、(1)vs(5) 0.89、0.87で、いずれも高い相関を認めた(p<0.05)。【考察】今回、足関節腫脹の評価法の客観性を確認するため、健常者の足部・足関節に左右差があるかを調査した。 その結果、左足の容積及び周径が大きいことが明らかになった。容積の左右差9.54mLは、対象の足部・足関節の平均容量850mLの約1.1%にあたる。右足の容積にこれを加えたものが、左足の容積になるという臨床的な目安が示された。左足の値が大きい理由は、平沢(1980)が足底面積が左側で大きいことを示していることと関係すると考えるのが妥当であろう。 水槽排水法は足関節腫脹の評価において高い妥当性が示されたが、臨床的にはメジャー測定法が簡便である。今回行ったメジャー測定法は全て水槽排水法と高い相関があり、特にFigure of Eight法は足部・足関節全体を評価できることから、客観性のある方法と考えられた。

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