著者
松永 秀俊 奈良 直貴 彌永 修一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.796-796, 2003

【はじめに】昼間部3年間、夜間部4年間の両学部の教育指導に当たって、両者の持つ不安に多く直面した。それぞれの特徴として昼間部学生(以下、昼間部)は級友とのトラブル、進級に関する問題など多くの不安を訴えるが深刻なものは少ない。それに対し、夜間部学生(以下、夜間部)は訴える不安は少ないが、経済問題など、一度表面化すると深刻なものが多く認められた。そこで、両学部を入学時から継続的に不安について調査し比較・検討することで、何らかの傾向を見つけ、事前に対策を講じることができることを期待し入学時及び定期試験前に調査を行った。【対象と方法】平成14年度理学療法学科に入学した昼間部40名(男性28名、女性12名)(既婚者3名)、平均年齢22.1±4.14歳と夜間部40名(男性37名、女性3名)(既婚者6名)、平均年齢25.2±4.71歳の計80名を対象とした。 対象者全員に対し入学式終了後(以下、入学時)、及び、前期定期試験1週間前(以下、前期試験時)にMAS(Manifest Anxiety Scale:日本版MMPI)を用いた不安検査を行い、両群を比較した。また、同時に、その不安の要因を探るために、LazarusらのDaily Hassles Scaleをもとにした宗像の日常苛立事尺度を用い検討した。30項目に対し、「日頃イライラを感じているかどうか」について、「大いにそうである」「まあまあそうである」「そうではない」の3段階で評定させ、それぞれ2、1、0点と得点化し、各項目の合計点を尺度得点とした。【結果】入学時に於けるMASの結果は昼間部で21.2±7.47、夜間部で17.8±7.95となり、若干、昼間部に点数の高い傾向が認められるが、両者間に有意差は認められなかった。更に、日常苛立事尺度の結果から、その不安要因として挙げられたものは夜間部では生活に密接した具体的なものであったが、昼間部では生活から懸け離れたものが多く認められた。 また、前期試験時に於けるMASの結果は昼間部で19.9±7.79、夜間部で15.2±7.43となり、入学時に比べ、夜間部の不安傾向が昼間部に比べ低いことを依然として示していたが、両群ともに不安傾向は改善していた。更に、日常苛立事尺度の結果から、夜間部では昼間部に比べ「家族への責任」「転職後の生活」などの不安要因が高く、昼間部では夜間部に比べ「人間関係」「外見・容姿」「陰口」などの不安要因が高かった。【まとめ】今回の結果から、初めての定期試験に対する不安より、入学時の不安が強いことが分かった。また、夜間部に比べ、昼間部は常に不安が強く、その要因についても学部ごとに特徴的であることが理解できた。 以下、今回の結果を更に分析し、後期試験時に予定しているデータの結果を加え報告する予定である。

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