著者
三浦 雅史
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P3563-G3P3563, 2009

【目的】理学療法学とは基礎知識を習得した上で正確な技術を要求される実学であることは言うまでもない.よって、理学療法教育では理学療法評価や治療に関する理論を理解し、さらに実践できる能力を身につけさせることが重要である.一般的な教授方法としては、その技術に関する理論を説明し、次に教員によるデモンストレーション、学生同士の実技といった流れである.しかし、このような技術を習得するには多くの時間を要し、正規の時間内に習熟できない場合が多い.結果として、学生は空き時間を利用したり、学期末テスト直前に学生同士で実技練習が行われる.しかし、学生同士の実技練習が正確に行われているかは甚だ疑問である.そこで、教育方法の改善の一環として、講義・実習を電子媒体化する方法を試みた.本研究では講義・実習の電子媒体化に関する試みを紹介し、試行後のアンケートから今回の取り組みについて検討した.<BR>【方法】調査対象は平成19年度、本学の2年生であった25名とした.対象に調査目的およびアンケートの取り扱い等について説明し、同意を得た上でアンケート調査に協力いただいた.調査対象とした科目は著者が平成19年度後期に担当した「運動器障害理学療法学実習」、「義肢装具学」である.いずれも2年次に開講される必修科目である.講義回数は「運動器障害理学療法学実習」では2コマ連続で13回(計26コマ)、「義肢装具学」は1コマを13回実施した.<BR> 電子媒体化の具体的な方法は以下の通りである.まず、講義等をデジタルビデオカメラで録画した.この録画映像を光ディスクであるDVDに書き込んだ.DVD1枚に対し、講義または実習1回分について保存した.このDVDを学生に対し、自由に貸し出した.<BR> 平成19年度後期終了後、DVD活用に関するアンケート調査を実施した.アンケート内容は、DVD利用の有無、DVD利用の目的、DVD利用枚数、DVD利用の効果等について無記名で実施した.<BR>【結果とまとめ】アンケート回収率は100%であった.DVDを利用した学生は22名、利用しなかった学生は3名であった.利用しなかった3名の意見としては「他の学生に借りられていた」、「時間が取れなかった」であった.DVDを利用した22名について、DVDの利用枚数は平均8枚であった.DVD利用の目的としては「教員の解説の確認」、「実技内容の確認」、「テスト勉強の一環」で占められていた.DVD利用の効果については「少し効果あり」が8名、「かなり効果あり」が14名であり、「効果なし」と答えたものはいなかった.アンケート結果より、多くの学生がDVDを利用し、なおかつ、その有効性を認めていた.特に理学療法評価や治療手技については、実技を動画で確認できたことから高い学習効果を認めていた.今後は、今回の試行をさらに改良し、よりよい教育方法について検討したいと考えている.

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