著者
山下 弘二 三浦 雅史 李 相潤 吉岡 利忠
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.273-279, 2003-08-20
被引用文献数
4 10

本研究では,除雪の作業条件と呼吸循環応答について検討した。被験者は,健康な若年者群12名(平均年齢20.5±1.0歳)と中高年者群11名(平均年齢49.2±7.8歳)であった。ショベル除雪とダンプ除雪をマイペースで行い,作業条件と呼吸循環応答の指標について,若年者群と中高年者群とで比較検討した。ショベル除雪の投雪頻度は中高年者群より若年者群の方が有意に高値であった。ショベル除雪では,酸素摂取量と一回の投雪重量とに正の相関関係を示した。ダンプ除雪では,酸素摂取量と投雪頻度とに正の相関関係を示した。ショベル除雪とダンプ除雪の運動強度は若年者群と中高年者群とで有意な差を認めなかった。しかし,相対的強度は,中高年者群の方が若年者群より有意に高値を示した。ショベル除雪の強度の平均は6.7 Mets, peak VO_2の70.7%, Anaerobic Threshold (AT)レベルであった。ダンプ除雪の強度の平均は8.3 Mets, peak VO_2の89.2%,中高年者群ではATレベルを越えていた。除雪作業中の拡張期血圧は,中高年者群の方が若年者群より有意な上昇が認められ,ダンプ除雪で顕著であった。中高年者群の除雪の強度はATレベルより大きく,特にダンプ除雪では血圧の上昇に注意が必要であった。
著者
三浦 雅史 川口 徹
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1152-Cb1152, 2012

【目的】 シンスプリント(過労性脛部痛)は多くのスポーツ選手に出現する慢性スポーツ外傷の一つである。主な症状としては脛骨内側部の圧痛や運動痛が挙げられる。2004年、著者はこの脛骨内側部の疼痛軽減を目的に「シンスプリント用装具(以下、本装具)」を開発した(平成22年5月28日特許取得、特許第4520842号)。2005年~2008年、2010年~2011年(第40~43回、45~46回日本理学療法学術大会)には、本装具が疼痛軽減効果を有することを報告した。2005年の第40回大会では、本装具とテーピング療法について比較・検討し、同等の効果を有することを報告した。一方、テーピングは、一般にその効果の有効性は認識されてはいるが、コストがかかり過ぎるといった点を指摘されることも多い。本研究では治療コストに焦点を当てた。本研究の目的は、シンスプリントの治療として、本装具とテーピングをコスト面から比較・検討することである。【方法】 対象はA高校の男女バスケットボール部に所属する高校生とした。男子部員は32名、女子部員は36名であった。その内、シンスプリントと診断されている部員は6名(男子2名、女子4名)であり、本調査対象とした。この6名は薬物療法等の加療を受けておらず、多くが湿布やアイシングといったケアを実施している者であった。彼らに対し、シンスプリント用のテーピングの巻き方を事前に指導した。テーピングの方法は患部を非伸縮性テープで圧迫する方法とし、25mm、50mmのテープを使用した。また、ラッピングのために50mmの伸縮性テープも使用した。事前に一定量のテーピングを提供し、シンスプリント以外の目的で使用しないようお願いした。テーピングの管理は2名のマネージャーにお願いし、不足が生じた場合はすぐに補充できるようにした。調査期間は2011年5月~7月までの3か月間とした。練習日誌から、練習日数やテープの使用状況を1か月毎に調査した。なお、大会や練習試合については本調査から除外した。今回の調査はテープの使用状況から費用を算出し、本装具の価格と比較した。本装具の価格は5,800円であった。【説明と同意】 本研究を実施するためにA高校校長及びバスケットボール部顧問に対し、研究の趣旨を説明し理解を得た。また、調査対象とした6名の部員及び保護者に対し、文書にて研究の趣旨を説明し、同意を得た上で参加して頂いた。【結果】 調査開始1か月目の練習日数は17日でテーピングの費用は52,820円であった。2か月目の練習日数は20日でテーピング費用は51,200円であった。3か月目の練習日数は19日でテーピング費用は49,900円であった。3か月間の総練習日数は56日でテーピングの総費用は153,920円であった。テーピングの総費用を対象者数で除した場合、3か月間に使用した一人あたりのテーピング費用は25,653円となった。さらに、練習日数で除した場合、1回あたりの費用を算出すると458円であった。本装具の価格(5,800円)を1回あたりのテーピング費用で除した場合、12.6回分であった。【考察】 テーピングは多くのスポーツ現場や臨床現場において日常的に使用される。しかし、毎回、練習毎に使用されるため、常にランニングコストが問題となってくる。今回、3か月間の調査から、テーピングと本装具とを比較した場合、テーピングの使用が12.6回分(約3週間)を超えると、テーピングにかかる費用が装具の価格を上回ってしまう結果となった。すなわち、本調査のように仮に3か月間テーピングを使用した場合、約2万円近い費用が余計に支出することとなる。もちろん、テーピング、装具それぞれに利点・欠点があり、決してテーピングを否定するものではない。ただし、同程度の治療効果が期待できるのであれば、コストの低い治療法を選択することは当然である。特にシンスプリントの疼痛については慢性化によって難渋するケースも多く、治療の長期化や再発例が少なくない。よって、シンスプリントに対しては治療効果とコストの両者から鑑みると、本装具は有効な手段になるのではないかと考えている。【理学療法学研究としての意義】 これまで理学療法では「治療効果」に関する研究は多々存在するが「治療コスト」に着目した報告は少ない。今回調査したシンスプリントのように長期間の治療を要する疾患では、治療効果・コストの両者の面から検討することが重要である。本研究を通し、コスト面への意識を提言できた点は意義ある研究ではないかと考える。
著者
三浦 雅史 川口 徹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1306, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】着地動作はスポーツ外傷の受傷機転として多い動作の一つである。これまで我々は,この着地動作に注目し,前後左右4方向への片脚着地動作について解析してきた。過去の報告では着地動作の成功例についてのみ解析してきたが,失敗例については解析されていなかった。実際のスポーツ場面での受傷状況を考えると,失敗例にその原因を突き止める鍵があるかもしれない。そこで,4方向への片脚着地動作について,どの方向で失敗しやすいのか,またどのようなパターンで失敗しているのかについて検討した。【方法】対象は健常な女子大学生38名とした。対象を女性と限定したのは膝外傷の特にACL損傷は女性に多いとされているためである。片脚着地動作の解析にはデジタルビデオカメラを用い,台から5m前方に設置した。測定した着地動作は高さ30cmの台から前方・後方・右側方・左側方へ片脚着地することとし,測定肢は全て右とした。着地動作時には視線は前方に保ち,上肢によるバランス保持の影響を少なくするために両上肢を胸の前で組むように指示した。まず,対象者は台上で足部を肩幅に広げた立位から片脚となり,片脚立位が安定してから検査者の合図により落下し,着地した。着地方向は前方,後方,右側方,左側方に10回ずつ実施した。着地成功・失敗の判定基準は2秒以内に静止できた施行を成功例,2秒以内に静止できなかった施行や着地後に足部の接地位置が変化した施行,遊脚側である左下肢を床につけてしまった施行を失敗例とした。各着地方向での失敗回数をカウントし,失敗動作を足底接地後2秒以内に静止できなかった施行(静止失敗群),着地後右足底の接地位置が変化した施行(足底離床群),遊脚側である左下肢を床につけてしまった施行(両脚接地群)の3パターンに分類した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は演者が所属する大学の倫理委員会の承認を得て実施した。研究内容について書面で説明し,同意を得た上で研究に参加頂いた。【結果】解析対象とした施行回数は1520回であった(4方向×10回×38名)。このうち,成功回数は775回(全試行の51.0%),失敗回数は745回(全試行の49.0%)であった。着地の方向別の失敗回数は左側方が最も多く210回,次いで右側方200回,後方182回,前方153回の順であった。パターン別では全方向とも足底離床群が最も多く,合計586回(失敗回数の78.7%),前方119回,後方144回,右側方150回,左側方173回であった。次いで多かったのが静止失敗群で合計118回(失敗回数の15.8%),前方25回,後方23回,右側方38回,左側方32回となった。両脚接地群は最も少なく合計41回(失敗回数の5.5%)であった。【考察】これまで我々が検討してきた先行研究では成功例のみを解析対象とし,失敗例は解析対象から除外してきた。しかし,今回の研究結果からも示された通り,片脚着地動作は約半数近くの施行で失敗する動作であることが明らかとなった。このことは片脚着地動作がスポーツ外傷の受傷原因となり得る動作であることを改めて説明する結果ではないかと考えている。また,今回の結果から,前後方向に比べ左右側方への着地動作で失敗していることが分かる。着地動作,特にドロップジャンプに関する先行研究では,前方への着地動作に関する解析がほとんどであり,本研究結果を踏まえると,今後は側方への着地動作に関する解析が重要と考える。失敗パターンでは足底離床群が約80%を占めており,体勢を保持または立て直すための動作が実施されており,スポーツ外傷の発生に関連する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】従来の動作分析では,解析にそぐわない条件,すなわち失敗例をデータ対象から除外する傾向があった。今回,改めて失敗例にスポットを当てたことで,今後の研究課題のヒントを得た点は非常な重要な意味を持つと考える。
著者
今 美香 苫米地 真理子 三浦 雅史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C1440, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】ハイヒール靴は外反母趾の原因の1つとされ、広く知られている。この原因の一つとしては、ヒール高のために足部が前方へ滑り、足尖部が靴とぶつかり、母趾が外反することが挙げられる。そこで今回、ハイヒール靴に対し、足部が前方へ滑らないようにするインソールを作成し、その有効性として足底圧、アンケート調査により検討したので報告する。【方法】対象は外反母趾などの足部疾患の既往がなく、足趾の変形や疼痛がない女子大学生10名とした。対象にはインフォームドコンセントを行い、同意を得た。使用したインソールは一般に市販されているポリエステル素材で、厚さ5mmのものを使用した。踵部分を切り取り、足部の前方への滑りを減少させた。また切り取った3cm幅のインソールを中足部に重ねることで厚くした。次に足部の第1中足趾関節(以下、MP関節)部分に5mmのEVAシートを削りインソールに貼った。これは個々のMP関節部にフィットさせるため、両面テープを用いて自由に位置を変えられるようにした。使用したハイヒール靴は6.5cmのヒール高とした。この靴にインソールを挿入していない状態(以下、インソールなし)と挿入した状態(以下、インソールあり)で、対象にそれぞれ5秒間の片脚立位、10歩の歩行を行った。足底圧の測定は富士フィルム社製圧力測定フィルム富士プレスケールを2cm×2cmに切り取り、母趾球部と踵部に貼り付け測定した。圧力の判定は貼り付けたプレスケールに写し出される赤色痕をもとに行った。また測定終了後にa.つま先の疼痛、b.足の甲の圧迫、c.足の甲と靴の間の隙間、d.足の土踏まずの適合性、e.ヒールの安定感、f.母趾MP関節の圧迫感、といったアンケートを行った。統計学的処理は対応のあるt-検定にて2群間の比較を行った。有意水準を5%未満とした。【結果】片脚立位、10歩の歩行共に、母趾球部の足底圧はインソールありで有意(p<0.05)に低値を示し、踵部ではインソールありで有意(p<0.05)に高値を示した。アンケートの結果、インソールありでおおむね好評な結果であった。【考察・まとめ】今回の結果より、インソールを挿入することで踵部に圧がかかり、それに伴い母趾球部への足底圧が減少し、足部が前方へ滑り込まなくなったことが考えられる。よって、母趾に対する内転方向への外力が減少し、外反母趾を引き起こすような外力は軽減できたのではないかと考えている。またアンケート結果からは、MP関節部のEVAシートの厚さやインソールそのものの厚さ等について改良の余地があることが明らかとなったが、おおむね好評な結果を得ることができた。以上より、外反母趾予防という観点から、ハイヒール靴に対するインソール挿入は有効であることが示唆された。
著者
安田 友久 中村 正直 白石 茂雄 増田 麗子 三浦 雅史 川口 徹 和久井 鉄城
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0063-C0063, 2004

【はじめに】2003年2月「第5回アジア冬季競技大会青森2003」の開催に引き続き,3月に青森県と岩手県を会場に「2003ジャパンパラリンピック・アジア国際障害者スポーツ交流大会」が開催された。青森県ではクロスカントリースキー,アイススレッジホッケーの2種目が行われた。この大会において青森県理学療法士会では青森県内の会場に理学療法室を開設し,選手・役員への理学療法サービスを実施した。今回,演者らが直接関わった八戸会場を中心に,今後の対応について検討したので活動内容と合わせて報告する。<BR>【大会概要】八戸会場大会期間:2003年3月6日から9日まで,八戸会場:八戸市新井田インドアリンク,競技種目:アイススレッジホッケー,参加チーム:北海道,八戸,長野,東京,韓国(国際交流大会として参加)の計5チーム,大会参加選手数:74名。試合形式:日本国内4チームでのトーナメント方式,韓国チームは全3試合。<BR>【活動内容】活動期間は大会期間と同様で,競技会場内の一室を理学療法室として開設した。理学療法室には選手の応急処置,コンディショニングなどに対応できるよう,物理療法機器,テーピング材料一式,治療用ベッドなどを用意した。人員配置は5施設から計10名の理学療法士が常時2から3名となるよう配置した。<BR>【活動結果】利用者は全て選手で,利用者のべ人数および治療行為のべ件数は,それぞれ56名,81件であった。治療目的としては疲労回復(40%),リラクゼーション(24%),安静固定(17%),消炎鎮痛(14%)の順になっていた。治療手技としては,マッサージ(47%)が最も多く,次いで超音波(14%),テーピング(12%)の順で多かった。<BR>【まとめ】今大会では疲労回復・リラクゼーションを目的としたコンディショニングに対するサポートが多かった。また,コンタクトスポーツという特性からか,打撲に対するアイシングや安静固定・疼痛軽減を目的としたテーピングの処置も多い傾向にあった。今回の活動を通じて,特にテーピングやマッサージは理学療法士間で技術格差があり,技術面に対する事前の準備不足が考えられた。八戸会場では,試合会場内に理学療法室を開設したが,選手から宿舎での処置希望の声も多く,会場と宿舎で対応できる体制が望まれると考えられた。また,中にはオーバーユースからくる慢性疼痛を訴える選手もおり,超音波やストレッチングの治療手技も有用であった。近年,スポーツ現場に携わる理学療法士が増えつつあるが、障害者スポーツに関わるトレーナーや理学療法士の数は,健常者スポーツの現場に比べまだまだ少ないことが予想される。今後,障害者に対する知識を多く持つ我々理学療法士が障害者スポーツにも積極的に関わり,健常者と同様に理学療法サポートを行っていく必要性があると考える。
著者
長谷川 至 尾田 敦 三浦 雅史 川口 徹 山内 茂寛 村上 三四郎 中村 正直
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0062-C0062, 2004

【はじめに】青森士会では,「第5回アジア冬季競技大会青森2003(以下,アジア冬季大会)」での理学療法サービス提供について,(財)青森アジア冬季競技大会組織委員会(以下,AWAGOC)から正式な依頼を受け,ボランティアとして活動を行った。今回,アジア冬季大会における活動を報告するとともに,活動上の問題点を踏まえて,今後の課題について検討したので報告する。<BR>【事前準備】1999年に青森士会では「冬季アジア大会準備委員会」を設置し,研修会などの開催や,AWAGOCや関連自治体との事前協議を行った。また,プレ大会へ参加することによって実地研修も行った。<BR>【大会概要】期間:2003年2月1~8日。会場:県内6市町9会場。競技種目:6競技54種目。参加国/地域:29カ国/地域。エントリー数:選手,役員計1102名。<BR>【活動概要】期間:2003年1月30日~2月7日。時間:9時~21時,一部の会場では夜間または予約のみ。場所:全会場の各選手宿舎(全9カ所)内に設置されたマッサージ室。人員:青森士会員106名(全会員279名中)。<BR>【活動結果】全会場合計の利用者延べ数は162名であった。日別利用者は,活動開始日から徐々に増加し,競技開始後2日目(49名)に最も多く,その後徐々に減少した。国別利用者延べ数は,計11カ国の方が利用し,カザフスタン(40名),韓国(38名),台湾(20名)が多かった。競技種目別利用延べ数は,カーリング(26名),バイアスロン(26名),フィギュアスケート(24名),フリースタイルスキー(21名)が多かった。主にトレーナーが帯同していない国または競技・選手の利用であった。利用目的は疲労回復(76%)が多く,腰背部(31%)や下肢(30%)に対するマッサージ(57%),物理療法(22%),ストレッチング(14%)が多かった。外傷に対する処置や,練習・競技直前の対応なども数例あったが,活動時間の都合上,対応できないケースもあった。<BR>【問題点と今後の課題】当初の計画ではいくつかの会場に限定して活動を行う予定であったが,大会数カ月前に,急きょ計画を変更して全会場での活動を行うこととなった。そのため,人員や物品の確保に支障をきたしたことや,各会場の状況を把握しきれなかったことなどの問題があった。その他,コミュニケーション能力などの問題もあったものの,選手や大会関係者からは概ね好評を得て活動を終えることができた。<BR> 資質向上,職域拡大,社会貢献などの点から,このような活動に参加することの意義は高いと考える。今後は,個々の資質向上だけでなく,青森県内においても関連機関や団体との連携を深めるとともに,組織的なサポート体制を構築することが重要である。
著者
三浦 雅史
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P3563-G3P3563, 2009

【目的】理学療法学とは基礎知識を習得した上で正確な技術を要求される実学であることは言うまでもない.よって、理学療法教育では理学療法評価や治療に関する理論を理解し、さらに実践できる能力を身につけさせることが重要である.一般的な教授方法としては、その技術に関する理論を説明し、次に教員によるデモンストレーション、学生同士の実技といった流れである.しかし、このような技術を習得するには多くの時間を要し、正規の時間内に習熟できない場合が多い.結果として、学生は空き時間を利用したり、学期末テスト直前に学生同士で実技練習が行われる.しかし、学生同士の実技練習が正確に行われているかは甚だ疑問である.そこで、教育方法の改善の一環として、講義・実習を電子媒体化する方法を試みた.本研究では講義・実習の電子媒体化に関する試みを紹介し、試行後のアンケートから今回の取り組みについて検討した.<BR>【方法】調査対象は平成19年度、本学の2年生であった25名とした.対象に調査目的およびアンケートの取り扱い等について説明し、同意を得た上でアンケート調査に協力いただいた.調査対象とした科目は著者が平成19年度後期に担当した「運動器障害理学療法学実習」、「義肢装具学」である.いずれも2年次に開講される必修科目である.講義回数は「運動器障害理学療法学実習」では2コマ連続で13回(計26コマ)、「義肢装具学」は1コマを13回実施した.<BR> 電子媒体化の具体的な方法は以下の通りである.まず、講義等をデジタルビデオカメラで録画した.この録画映像を光ディスクであるDVDに書き込んだ.DVD1枚に対し、講義または実習1回分について保存した.このDVDを学生に対し、自由に貸し出した.<BR> 平成19年度後期終了後、DVD活用に関するアンケート調査を実施した.アンケート内容は、DVD利用の有無、DVD利用の目的、DVD利用枚数、DVD利用の効果等について無記名で実施した.<BR>【結果とまとめ】アンケート回収率は100%であった.DVDを利用した学生は22名、利用しなかった学生は3名であった.利用しなかった3名の意見としては「他の学生に借りられていた」、「時間が取れなかった」であった.DVDを利用した22名について、DVDの利用枚数は平均8枚であった.DVD利用の目的としては「教員の解説の確認」、「実技内容の確認」、「テスト勉強の一環」で占められていた.DVD利用の効果については「少し効果あり」が8名、「かなり効果あり」が14名であり、「効果なし」と答えたものはいなかった.アンケート結果より、多くの学生がDVDを利用し、なおかつ、その有効性を認めていた.特に理学療法評価や治療手技については、実技を動画で確認できたことから高い学習効果を認めていた.今後は、今回の試行をさらに改良し、よりよい教育方法について検討したいと考えている.
著者
渡部 一郎 長門 五城 三浦 雅史
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

リハ治療では、疾患や障害に合わせ、運動強度や物理療法の種類や強さを設定する。近年開発された毛細血管顕微鏡観察装置では非侵襲的に毛細血管血流速度が定量化できる。この臨床的意義を検討した。健常人の手指冷水負荷後毛細血管血流速度は皮膚温の改善とともに上昇した。姿勢保持や介入困難な脳性麻痺症例では障害側手指の毛細血管血流速度低下を認めた。糖尿病では毛細血管の狭小、変形などの形態学的異常と、有意の毛細血管血流速度低下が示された。糖尿病の有酸素運動では、毛細血管血流速度が改善し微小血管循環の治療への有用性が示された。