著者
高橋 優 南谷 さつき 中東 真紀 石原 領子 長太 のどか 古屋 かな恵 張本 浩平
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101610-48101610, 2013

【はじめに、目的】 春日井市は、65歳以上の老年人口が20.1%であり全国平均と比較し現状の老年人口は若干少ない地域である。超高齢社会において高齢期の健康の保持と増進においては栄養は重要なものである。今回、在宅における栄養摂取の現状把握をMini Nutritional Assessment-short form(以下MNA-SF)を用い、実際に摂取している総カロリー量及びたんぱく質量と比較し若干の知見を得た。【方法】 評価期間は平成24年8月20日~平成24年9月15日の4週間とした。対象は、本調査の趣向を説明し同意を得られた、当訪問看護ステーションを利用している10名(男性6名・女性4名)、平均年齢75.3±8.9歳とした。 (1)栄養評価は、MNA-SFを用い、栄養障害の状態を栄養障害あり・低栄養のおそれあり・栄養障害なしの3つに分類した。栄養評価は、担当スタッフに検査方法を十分に説明し、(2)の開始前の訪問時に実施した。(2)摂取カロリー・摂取たんぱく質量については3食3日分の食前・食後の写真撮影を利用者または家族により実施した。写真撮影の漏れがないよう3食3日分の食事チェック表を作成し間食の記録も行なった。なお、外食に行かれた場合、撮影漏れ・撮影不良が起きた際は、1日分の食事を後日改めて写真撮影をするなど行なった。摂取カロリー・摂取たんぱく質量の測定は管理栄養士が統括した。(3)統計学的解析は、MNA-SFスクリーニング値と摂取カロリー・摂取たんぱく質量・BMI値で回帰分析を用い有意水準5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には、調査を行う前に本調査の趣向を紙面と口頭で説明し、インフォームドコンセントを得た。【結果】 (1)MNA評価結果は、栄養状態良好4名、低栄養のおそれあり6名、低栄養0名、BMI平均21.1±4.3であった。(2)摂取カロリー・たんぱく質量は、1日分の平均摂取カロリー1543.8±220.4キロカロリー、摂取たんぱく質量62.4±15.3グラムであった。(3)MNA-SFスクリーニング値と摂取カロリー・摂取たんぱく質・BMIの回帰分析の結果、摂取カロリー、摂取たんぱく質量とは有意な相関を認めなかった。BMIはR値:0.46、 p値: 0.02で有意な相関がみられた。【考察】 在宅における栄養摂取の現状を把握するためにMNA-SF評価ツールと食事撮影・測定を実施した。MNA-SFと摂取カロリー・タンパク質量の相関はみられなかったが、BMIとの相関はみられた。MNA-SFとBMIは密接な関係にあり栄養状態の把握にBMIが有用に働く事が示唆された。MNA-SFの結果からは、MNA-SFの最大の特徴は低栄養の階層化における低栄養のおそれありというグレーゾーンの設定である。今回の結果より低栄養のおそれありの6名は、低栄養となる可能性がある。摂取カロリー・摂取たんぱく質量からは、普段の食事より、写真撮影時の方が多めの食事となりバランス良く摂取されている可能性があるが、全国平均では、摂取カロリー1821.5±101.5キロカロリー、摂取たんぱく質量68.3±4.0グラムであり、平均一日あたり摂取カロリー数は約300キロカロリー、摂取たんぱく質量は約6グラム足りていない結果となった。以上のことから、MNA-SFと摂取カロリー・摂取たんぱく質量の相関は得られていないが、低栄養のおそれありの利用者が低栄養になる可能性があり、サルコペニア等の問題も浮上してくる事が考えられた。今後は、詳細な栄養摂取の現状把握が行なえるよう対象者を増やし、摂取カロリー・たんぱく質量の測定方法を考慮して実施したいと考える。【理学療法学研究としての意義】 高齢者における栄養の摂取量低下は、健康に多大な影響を与える事が、多くの研究により明らかにされている。高齢者が地域で満足した生活を営む為に栄養状態の把握・改善に対してアプローチしていかなければならないと考える。

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こんな論文どうですか? 在宅療養における栄養摂取の現状把握:実際の食事を確認して(高橋 優ほか),2013 http://t.co/D0IDUpkvRy

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