著者
青山 宏夫
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.12-15, 2013

近世日本における世界図は、仏教系世界図、南蛮系世界図、マテオ=リッチ系世界図、蘭学系世界図などに系統分類され、とくに南蛮系世界図をのぞく三者は近世を通じて併存していたといわれている。また、これらに加えて、17世紀半ばから18世紀前半に流布した万国総図やその影響下にある世界図を、別の系統に分類する見解もある。本報告では、この点を再確認したうえで、これらの異なる系統の世界図はいかにして併存しえたかという課題設定のもと、とりわけ近世を通じて影響力を維持したマテオ=リッチ作製の世界図に基づく世界図を中心に、当時の思潮にも注意しつつ、近世日本における世界図史を検討する。また、この過程で、坤與万国全図の諸版とその写本・増補、その影響下にある刊行図などを検討することにより、坤與万国全図をはじめとするマテオ=リッチ世界図が、その東西両半球図を含めて、近世日本にいかにして受容されたかについても考察したい。

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