著者
中西 信男
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.8-16,65, 1969
被引用文献数
1

(1) 反抗の行動類型は1かんしやく型 (1:0~1:11が最高), II攻撃型 (3:0~3:11が最高), III言語型 (9:3~10:2が最高), IV緘黙型 (11:3~12:2が最高) の順にあらわれ, IVはその後, 青年期にまで持続される傾向を示している。<BR>(2) I, IIの行動的反抗とIII, IVの言語的反抗の類型は5才台では両型とも40~50%の出現率を示しているが, その後, 行動的反抗は漸次減少し, 言語的反抗がしだいに顕著になる。<BR>(3) I, IIの行動類型が児童後期まで持続されるときは神経症的反抗または逸脱した問題行動と考えることができる。<BR>(4) しばしば反抗がくり返される場面は睡眠, 排泄, 食事, 離乳, 服装, 生活空間の拡大, 経済, 遊戯, 非行, 家事, 学業, 娯楽の選択などの各領域においてみられる。<BR>(5) このうち, 1才児においては睡眠, 排泄, 食事習慣, 離乳, 行動空間の拡大などの基本的身体的習慣形成に関する反抗がみられ, 3才児では経済, 遊戯, 家事などに関する反抗がそれに加わる。4才になれば1才児にみられた身体的習慣形成に関する多くの反抗が消失するが, 5才以後, 衣服の選択, 学業, 家事, 娯楽の選択などに関して反抗が増加する。<BR>(6) しかし同じ食事場面の反抗でも1才児では基本的食事習慣に関するものがみられ, 4才以後ではこれらのかわりに食物の嗜好に関する不平が増加する。同様なことは生活空間の拡大についてもいえる。子どもの行動半径が拡大されるにつれて, 寝台から子供部屋へ, 家の周辺部へ, さらに近隣へと葛藤場面が移行している。<BR>(7) 反抗が頻発する場面の発達的変化は児童の運動能力の成長, 社会性の発達, それにともなう子供に対する親の期待の変化, 児童の成長にともなう決定領域の拡大とそれによつておこる家族内の不安定な力関係とに密接な関係がある。<BR>なお本研究は昭和32年度民主教育協会調査研究援助費によつて行われたものである。

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