- 著者
-
加藤 久美
- 出版者
- 日本小児耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 小児耳鼻咽喉科
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.3, pp.209-215, 2010
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は成人と異なり,眠気よりも学力低下や,多動性・攻撃性などの注意欠陥/多動性障害(AD/HD)様の認知・行動面の問題が生じやすく,発達に影響を及ぼすとされているが,そのメカニズムはまだ明らかではない。脳に器質的な影響を及ぼすとの報告,全例ではないが OSAS 治療後に落ち着きや集中力などが改善することより,小児 OSAS に対する早期介入が重要であると考えられる。小児睡眠診療では AD/HD,広汎性発達障害(PDD)の発達障害を持つ児の受診が多く,未診断のケースも少なくない。小児睡眠診療を行う上では,発達面に留意して診療を行い,保護者の困り感や,脳波所見など気になる所見がある場合に,小児科や児童精神科,療育センターなどにコンサルテーションできる体制を整えておくべきである。小児 OSAS では,発達面を含めた長期視野でのフォローが重要である。