著者
井上 和彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, 1978

In vitro での Treponema pallidum (以下T,P,)Reiter 株に対する各種抗生物質の影響を,走査型並びに透過型電子顕微鏡を用いて比較検討した.薬剤未添加群の走査型電子顕微鏡による T・P. Reiter 株は,長さ 10μ,幅 0.2μ 内外の表面平滑な梶棒状を示した. 20mμから30mμ の Axial filament と思われる細い線維は, T.P・Reiter 株本体にからみつくように多数みられた.同じ条件下の透過型電子顕微鏡に.よるT.P. Reiter株は,縦断面の電子密度が大であり内部に Axial filament, Deepfilament がみられた.横断面において Protoplasmic cellmembrane がみられたが, Cell envelope は明瞭に観察されなかった. Benzylpenicillin,Cephalexiii ; Amoxicillin 添加後走査型電子顕微鏡にて観察された Spheroplast 様構造物は,透過型電子顕微鏡で菌体の一部から約1μ×1.4μの楕円形を示し,内容物は電子密度中等度の微細穎粒と糸状の Nuclear fibril より成っていた.しかし,Doxycycline, Erythromycin 処理後にはこのような変化を認めなかった.各種抗生物質のなかでは Benzylpeni cillin が最も短時間しかも低濃度で変化を生ぜしめた,

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