著者
浜田 信生
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
気象研究所研究報告 (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.77-156, 1987
被引用文献数
8

長い時間スケールを持つ地震活動に対し、古い地震資料の精度の再評価による解明を試みた。まず過去60年間の地震観測の歴史を概観し、観測体制、運用状況を考察することにより、観測の精度、地震検知能力がどのように変化したかを把握した。次に観測の時間精度と震源決定精度の関係を、各時代につき実際例から調べ、古い観測資料の精度が今までの研究では、過小評価されてきたことを明らかにした。二重深発地震面、大地震の余震域の形状と本震の震源過程などについて行われている最近の解析方法が、古い地震活動についても適用可能となったばかりでなく、新たにサイスミシティの経年変化などを追跡する道が開けた。以上の結果を踏まえて、1940年代から1960年代にかけて日本列島の内陸部で発生した、主な被害地震の本震余震分布の再調査を進めた。再調査の結果から、いわゆる直下型地震の震源過程、先行地震活動や前震活動、余震活動の減衰の仕方など、今日の地震学の一般的な問題について考察を加え、幾つかの結論を導いた。

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