著者
小澤 義博
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.132-137, 2013

パスツールが狂犬病ワクチンを開発し,1885年に人に接種してから128年たち,確かに先進国における犬猫の媒介する狂犬病の発生数は目に見えて減少,もしくは淘汰されてきた。しかしWHO/FAO/OIEの推計によると毎年約6万人の死者が報告されており,WHOの推計によるとアジアとアフリカで未だに毎年約55,000人以上(アジアで約31,000人,アフリカで約24,000人)の死者がでていると推計されている。アジアではインドの狂犬病患者が最も多く,次いで中国である。現在,世界で狂犬病の清浄国は,わずか8ヵ国(英国,日本,スエーデン,アイスランド,ノルウエー,オーストラリア,ニュージーランド,シンガポール)である。アメリカは野生動物狂犬病の汚染国であるが,ハワイやグアム島は清浄地域である。また太平洋には狂犬病のない沢山の小島が存在している。世界の狂犬病の発生状況は図1)にまとめてある。狂犬病はすべての哺乳類に感染するが,狂犬病ウイルスの研究が進むにつれて,いろいろな野生動物からウイルスが分離されるようになり,狂犬病ウイルスの他に狂犬病に関連するリッサウイルスが存在することが分かってきた。

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