著者
佐藤 ルブナ 佐藤 洋志 西脇 農真 横江 勇 鶴田 信慈 原岡 ひとみ
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-188, 2014

症例は44歳,女性.2012年11月初旬から発熱,咳嗽が増悪し,11月下旬に意識障害を契機に当院搬送となった.初診時Ⅰ型呼吸不全,ショックを呈しており,両側中下肺野の湿性ラ音,右不全片麻痺,頭頚部や四肢に多発する紅斑と紫斑が認められた.肝腎機能障害,炎症反応上昇,凝固線溶系の顕著な異常,脳梗塞,両肺下葉の浸潤影を認め,重症肺炎や劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)に伴う多臓器障害,播種性血管内凝固を疑い加療を開始.シプロフロキサシン,ドリペネム,トロンボモジュリン,アンチトロンビンIIIの投与に加え,メチルプレドニゾロンパルス療法を行った.抗菌薬投与により炎症反応の改善を認め,入院時の抗リン脂質抗体価が正常であったため,CAPSは否定的であると考えプレドニゾロン投与を中止した.しかし,第7病日の検査にて抗カルジオリピンIgM抗体価が上昇しており,その後の再検査で抗カルジオリピンβ2GPI抗体価の一過性の上昇を認めた.さらに,第8病日に凝固線溶系の改善に相応しない血小板減少,肺胞出血が出現.CAPSの診断のもと,メチルプレドニゾロンパルス療法を行った後,プレドニゾロン投与を継続.炎症反応,呼吸不全,血小板減少の改善を認め,第12病日に抜管した.

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こんな論文どうですか? 一過性の抗リン脂質抗体価上昇を呈し多臓器の血栓症を来たした劇症型抗リン脂質抗体症候群疑いの一例(佐藤 ルブナほか),2014 https://t.co/ostczIbyC2

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