著者
倉橋 節也
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.252-260, 2008

本研究では,中国の家系記録「族譜」をもとに,科挙合格者を多く輩出したひとつの家系を約500年に渡ってエージェント技術を用いて分析を行った.家系ネットワークと個人のプロファイルデータをそれぞれ隣接行列と属性行列として表現し,実プロファイルデータを目的関数とする,マルチエージェントモデルによる逆シミュレーションを実施した.その結果,家庭内において子供への文化資本の伝達には,祖父と母が大きな影響を持つことがわかり,家族が維持する規範システムの一部を発見できた.本モデルによって,逆シミュレーション手法を用いたエージェントベースモデルが歴史学や人類学の分野において,新たな知識の発見に貢献できることを示した.

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"家庭内において子供への文化資本の伝達には,祖父と母が大きな影響を持つことが発見された""エージェントベースモデル(ABM) が歴史学や社会学の分野において,新たな知識の発見に貢献する可能性" →科挙と文化資本

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