- 著者
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倉橋 節也
吉田 健一
津田 和彦
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 挑戦的研究(萌芽)
- 巻号頁・発行日
- 2017-06-30
本年度は,複雑システムにおけるモデルパラメータの推定と変数選択を効率的に行うためのアルゴリズムについての研究を実施した.また,逆シミュレーション学習によるエージェントモデルのパラメータ推定手法の手法を,実際の社会システムを対象に適用事例を作っていくことを主に行った,1)都市動態モデル,3)組織多様性モデルについて検討した,1)変数選択モデル エージェントモデルでは,多数の変数を扱うことになるが,それらを網羅的に探索して適切な値を求めることは,計算資源の課題から困難な場合が多い,また,取り扱う変数も削減することが,モデルの簡潔さとシミュレーション結果の解釈において,重要となる.実データを適用する場合においても,大量かつ複雑なデータの獲得と蓄積が進み,重要な変数を選択する手法の重要性が高まっている.そこで,実数値遺伝的アルゴリズムを用いて,同一世代内の遺伝子の分散を活用した変数選択手法を提案し,パラメータ推定と変数選択の両方に対応できることに成功した,2)都市動態モデル 中世において都市の集中化は始まっており,人口の増加に伴う流動化が移民の増加へと拡大している.このスプロール化した都市がどのように発生するのかを解明することは,華僑の発生と都市構造との関係を知る上で重要となる3)組織多様性モデル 少子高齢化が進む日本では,労働力を確保するために働き方,働く人が多様化している.海外からの労働者を受け入れることは,事務職においても今後増えることが予想され,オフィスにおける多様性のマネジメントが課題となるそこで,多様性を定量化するフォールトラインの考え方に基づき,日本の組織を対象にした実態調査の結果を用いて,組織の多様性と成果関係をエージェント・ベースモデルによって明らかにした.多様性はフォールトラインの強さとサブグループ数によって成果への影響が異なることがが明らかになった.