- 著者
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平山 祐
山本 正嘉
- 出版者
- 日本トレーニング科学会
- 雑誌
- トレーニング科学 (ISSN:13494414)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.1, pp.63-75, 2011
全日本選手権または大学生選手権で入賞経験を持つカナディアンカヌー選手を対象として,通常の水上練習や筋力トレーニングと並行して,カナディアンカヌー用のエルゴメーターを用いて高強度のインターバルトレーニングを行わせた.その際,このトレーニングを通常酸素環境下で行う群(N 群,n=9)と,常圧低酸素室を用いて低酸素環境下(高度2000 ~ 3000m 相当)で行う群(H 群,n=9)の2 群を設けた.両群とも,トレーニングは週に3 ~ 4 回の頻度で3週間行った.その結果,N 群もH 群も,カヌーエルゴメーターを用いて測定した有酸素性能力(最大酸素摂取量)と無酸素性能力(10 秒間の全力漕時のパワー)がいずれも改善し,さらに200m 漕と500m 漕のタイムも改善した.ただし,200m 漕タイムの改善については,H 群の方がN 群よりも有意に大きかった.したがって,カヌーエルゴメーターを用いた補強トレーニングは,通常酸素環境で行ってもさまざまな作業能力の改善につながるが,低酸素環境で行えばそれに加えて,無酸素性および有酸素性の両能力がいずれも関与する200m 漕の成績をさらに大きく改善できる可能性が考えられた.