- 著者
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金野 亮太
井上 修平
山本 正嘉
- 出版者
- 日本トレーニング科学会
- 雑誌
- トレーニング科学 (ISSN:13494414)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.4, pp.357-365, 2010
暑熱環境(気温35 ℃,湿度80%)に設定した人工気象室において,8名の自転車競技選手が長時間の自転車ペダリング運動を行い,その運動の途中で全身に冷水をかけて身体冷却を行った場合に,体温をはじめとする生理応答や,主観的な指標にどのような効果があるかを検討した.<br> 被験者は,レースで使用するロードレーサーを用いて,走行速度を40km/h に固定し,90 分間の運動を行った.この運動強度は乳酸閾値を超えないものであり,実際のレースにおける運動強度からみると,比較的弱い部類に属するものであった.被験者は,運動開始から60 分を経過したところで,全身に5 ℃の水をかぶる条件(以下,水かぶり)と,それを行わない対照条件の 2 通りを,ランダムな順序で行った.<br> その結果,水かぶりを行うことによって体温(直腸温度,平均皮膚温度)の上昇は抑制され,その効果は運動終了までの30 分間持続した.また水かぶり後には心拍数や酸素摂取量も低値を示し,運動効率の改善が窺えた.以上の結果から,暑熱環境下で行う水かぶりは,熱中症を予防したり,運動パフォーマンスを維持する上で,実用的で効果の高い手段であることが示唆された.