著者
春日 真由美 京坂 紅 黒澤 永 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.524-528, 2015

<b>【症例1】</b>81歳,女性.噴門部胃がん.消化管内に空気が溜まってくると心窩部の重苦感が増強していたが,曖気にて症状軽減を認めていた.曖気がすっきり出ない苦しさが続いていたため,メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ,曖気が出やすくなり,上腹部の膨満感は緩和された.<b>【症例2】</b>57歳,男性.膵頭部がんにて消化管通過障害を認めていた.腹部膨満感を伴った上腹部の不快感を訴えており,曖気にて改善を認めていた.メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ曖気がスムーズに出るようになり,上腹部の不快感が軽減した.<b>【考察】</b>がんによる消化管通過障害に伴った曖気がすっきり出ない苦痛症状に対して,メトクロプラミドの持続投与が有用な選択肢の1つであることが示唆された.消化管通過障害がある場合,メトクロプラミドによる蠕動亢進作用により胃に溜まっていたガスが上昇逆流し,曖気が促進されやすくなることが推測された.

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