著者
京坂 紅 割田 悦子 中西 京子 太田 池恵 高塚 直能 深澤 義輝 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-190, 2021 (Released:2021-05-31)
参考文献数
20

本邦のメサドン適正使用ガイドには,SAG法(先行強オピオイドをすべて中止してメサドンを開始する方法)が記載されている.当センター緩和ケア科では,詳細な評価のもと,メサドンを先行オピオイドに追加で導入した後に,先行オピオイドの漸減・中止する投与法を行っている.今回,この投与法を行った28例について,臨床的意義を考察した.28例中20例(71.4%)でメサドンは至適用量に達し,痛みの増悪や深刻な有害事象なく,メサドンのタイトレーションを安全に行うことができた.ただし,本方法が安全に行われるには,半減期が長いメサドンの薬理学的特性に留意し,メサドン導入後の鎮痛効果と有害事象についての詳細な評価と薬剤調整が必要であると考える.
著者
春日 真由美 京坂 紅 黒澤 永 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.524-528, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
20

【症例1】81歳,女性.噴門部胃がん.消化管内に空気が溜まってくると心窩部の重苦感が増強していたが,曖気にて症状軽減を認めていた.曖気がすっきり出ない苦しさが続いていたため,メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ,曖気が出やすくなり,上腹部の膨満感は緩和された.【症例2】57歳,男性.膵頭部がんにて消化管通過障害を認めていた.腹部膨満感を伴った上腹部の不快感を訴えており,曖気にて改善を認めていた.メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ曖気がスムーズに出るようになり,上腹部の不快感が軽減した.【考察】がんによる消化管通過障害に伴った曖気がすっきり出ない苦痛症状に対して,メトクロプラミドの持続投与が有用な選択肢の1つであることが示唆された.消化管通過障害がある場合,メトクロプラミドによる蠕動亢進作用により胃に溜まっていたガスが上昇逆流し,曖気が促進されやすくなることが推測された.
著者
春日 真由美 京坂 紅 黒澤 永 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.524-528, 2015

<b>【症例1】</b>81歳,女性.噴門部胃がん.消化管内に空気が溜まってくると心窩部の重苦感が増強していたが,曖気にて症状軽減を認めていた.曖気がすっきり出ない苦しさが続いていたため,メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ,曖気が出やすくなり,上腹部の膨満感は緩和された.<b>【症例2】</b>57歳,男性.膵頭部がんにて消化管通過障害を認めていた.腹部膨満感を伴った上腹部の不快感を訴えており,曖気にて改善を認めていた.メトクロプラミドの持続皮下注を開始したところ曖気がスムーズに出るようになり,上腹部の不快感が軽減した.<b>【考察】</b>がんによる消化管通過障害に伴った曖気がすっきり出ない苦痛症状に対して,メトクロプラミドの持続投与が有用な選択肢の1つであることが示唆された.消化管通過障害がある場合,メトクロプラミドによる蠕動亢進作用により胃に溜まっていたガスが上昇逆流し,曖気が促進されやすくなることが推測された.