- 著者
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中牟田 義博
- 出版者
- 日本鉱物科学会
- 雑誌
- 日本鉱物科学会年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2008, pp.214-214, 2008
強い衝撃作用を受けたGoalparaユレイライト隕石中には,シャープなラマンバンドを示す数ミクロン大の粒状のダイヤモンドとそれと同程度の硬度をもつが明瞭なダイヤモンドのラマンバンドを示さない100ミクロン大の板状の炭素物質が認められる.このような板状の炭素物質はその形状から,グラファイトから衝撃により直接変化して出来たものと考えられるが,その性質についてはよく分かっていない.今回の研究では,この高い硬度を持つ板状炭素物質について,マイクロレーザーラマン分光分析,Gandolfiカメラを用いた粉末X線回折実験を行うことにより詳細な検討を行った.X線粉末回折パターンは板状炭素物質がnormalとcompressed のグラファイトおよびダイヤモンドの混合物よりなることを示し,本試料中のダイヤモンドはダイヤモンドと同じ3層の炭素シート積層を持つとして単純六方格子のa軸とc軸の長さを求めると,c/aの値はダイヤモンドの2.450に対し2.462となり,炭素シート内のC-C結合距離がやや短く,炭素シート間の間隔がやや広くなる.