著者
小島 肇
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.S12-1, 2012

製薬業界において、医薬品の探索試験としてのin vitro試験の活用が増えつつある。これらの試験法を用い、多くの創薬候補物質のスクリーニングを進めることは、新規医薬品の開発を短期かつ安価に促すことになり、国際的な新薬開発競争が激化する昨今、極めて有用であると思われる。この試験法にはもちろんin vitro毒性試験も該当する。市場から撤退を余儀なくされる医薬品のほとんどが動物実験では検出できなかったものや、個人差の大きい副作用によるものであることもあり、ヒト細胞を用いた探索毒性試験に掛ける期待は大きい。 これら試験は探索毒性試験法であることもあり、行政的な公定化はもちろん不要であり、JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)の出番はない。しかし、新規に開発された技術やキットを利用する場合は、専門家による第三者評価が十分になされていないこともあり、科学的妥当性はあるのか、偽陽性の判断で有用な候補物質を見殺しにすることはないのか、偽陰性の判断で余分な追加実験を科すことにならなかいという利用者の不安を払拭できないことも確かである。このような試験法を導入する場合、学会や業界などにおける有志の協力を得て、共同研究を行うことにより、試験法の意義やプロトコルを見直すことが無難である。これにより、試験法が揉まれ、より有用性の高い試験法に磨かれていくと感じている。 このような試験法の開発に、協力者を呼び掛け、少ないながらも金銭的な支援をする、バリデーションのノウハウを用いて技術的な協力をすることも、国立医薬品食品衛生研究所にある新規試験法評価室の使命でもあると考えている。

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