著者
山田 恭子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.66-66, 2010

従来,環境的文脈を復元すると,正しい記憶が増えると言われてきた。一方で,環境的文脈の復元が誤った記憶にどのように影響するのかは,まだ不明瞭である。この問題は目撃記憶正確性に関連してくる問題といえる。そこで,本研究では,環境的文脈の復元が目撃者の正再認と虚再認に及ぼす影響について調べた。環境的文脈は模擬犯行場面の映像の呈示の有無で操作した。学習時に模擬犯行場面の映像を提示した10分後,犯人の特徴等に関する再認テストを行った。そのとき,同文脈条件では,学習時の映像から人物やその所持品を除いた静止画を見ながら回答を行った。異文脈条件では画像の呈示はなかった。その結果,正再認率は環境的文脈の復元の効果はなかった。一方,虚再認率は,同文脈条件において異文脈条件よりも高かった。このことから,環境的文脈が復元されると,実際に見なかったものも誤って「見た」と判断してしまう可能性が高くなることがわかった。

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