著者
市川 竜太郎 小林 秀 小倉 あい
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>目的<br></b><b></b>消費者が行う野菜の冷蔵保存の方法として、購入した状態のまま保存するか、食料保存袋に野菜を入れ替えて保存する方法が一般的に行われている。一方、野菜類は保存中に傷ませた経験のある食材であり、鮮度を保持する方法を知りたい食材として挙げられている。そこで、野菜としてホウレンソウを用い、保存方法の違いが保存後の鮮度に及ぼす影響について検討した。&nbsp;<br><b><br>方法<br></b>ホウレンソウは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。重さ約100gのホウレンソウをそのまま保存した場合、食料保存袋に入れて保存した場合、および含水不織布でホウレンソウを包み食料保存袋に入れたものを2週間家庭用冷蔵庫にて保存し試験に供した。保存後のホウレンソウの鮮度は、重量、ガス(O<sub>2</sub>,CO<sub>2</sub>)濃度、色差計による色調変化、官能評価(指標として、総合的な新鮮さ・しおれ・傷み・黄変・可食の可否)を行った。&nbsp;<br><b><br>結果<br></b>各々の条件で保存したホウレンソウの重量を測定した結果、含水不織布で包み食料保存袋で保存したものは、保存前と比較し重量が約10%増加していた。一方、ホウレンソウをそのまま保存した条件では保存前と比較し約17%の重量減少が認められた。食料保存袋にて保存した条件では顕著な重量変化は認められなかった。また、ガス濃度を測定した結果、保存条件の違いによる差は認められなかった。しかしホウレンソウの色調変化では、含水不織布で包み食料保存袋にて保存したものが最も緑色を維持しており、次いで食料保存袋による保存、そのままの状態での保存の順で葉の黄変が認められた。また、各保存条件で保存したホウレンソウの官能評価では総合的な鮮度で相違が認められ、含水不織布で包み食料用保存袋で保存したものが最も鮮度が良いと評価された。含水不織布を利用した保存条件では、葉からの蒸散作用が抑制されるとともに、ホウレンソウが水分を吸収し、鮮度を保持していたと推察された。

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