著者
綾部 園子 平方 千裕 武田 明日香 藤間 美咲
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】米の需要拡大を目指して、米を用いた各種パンの製法が検討されている。微細な米粉を用いる方法と米を穀粒のまま用いる方法に大別されるが、家庭では精白米粒を用いる方法が受け入れやすく、その中で、米をペーストにする製法(米ペーストパン)と炊飯米を用いる製法(ご飯パン)が実践しやすい方法であろう。そこで、2法によりパンを調製して、物性および嗜好性を検討し、特徴とその要因について検討した。<BR>【方法】通常のパン(食パン)の配合に対し、小麦粉の30%を米ペースト、炊飯米または米粉(米粉パン)に置換して自動ホームベーカリー(SD-BH103、Panasonic)を用いてパンを調製した。製品の比容積、水分量、物性(TPU-2、山電)、色、全糖(フェノール硫酸法)と還元糖(ソモギ・ネルソン法)を測定し、官能評価(評点法)を行った。<BR>【結果】パンの比容積と高さは食パン>米ペーストパン>ご飯パン>米粉パンの順、水分はご飯パン>米粉パン=米ペーストパン=食パンの順となり、米を置換したパンは、色が白く、水分が多く、比容積の小さいパンであった。物性測定の結果、硬さはいずれのパンでも差がなく、凝集性はご飯パンと米ペーストパンで小さかった。官能評価の結果、ご飯パンは甘く、しっとり感ともちもとした弾力があり、総合的に好まれた。甘味の違いを明らかにするために、パンの糖量を測定したところ、全糖量はご飯パンが有意に多かったが、還元糖量には有意の差がなかった。ご飯パンでは炊飯中に生成したグルコースがイースト発酵時に優先的に利用され、結果的にスクロースの残存量が多なり、甘いパンとなったことが示唆された。

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