- 著者
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森 健
- 出版者
- 一般社団法人 経営情報学会
- 雑誌
- 経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2009, pp.76-76, 2009
本稿は企業のメインバンク変更の理由として企業の取引支店と銀行本部の距離に着眼した。銀行の本部は貸出審査や専門部隊派遣など支店の支援を行う。本部から遠い支店ほど支援に手間がかかると考えられ、支店と本部の距離が企業との取引に影響を及ぼす可能性がある。600件以上のサンプルの距離を地理情報ソフトウェアにより厳密に計測し分析を行った結果、地方銀行をメインバンクとする企業には他銀行業態をメインバンクとする企業と比較し次の特徴があることがわかった。第一に、取引支店が本部から離れている企業の割合が大きい。第二に、取引支店が本部から遠いほどメインバンクから離反し易い。第三に、メインバンクを地方銀行から他の銀行に変更した企業より、他の銀行から地方銀行に変更した企業の方が財務内容は悪い。本稿は地方銀行に店舗運営に関する固有の経営課題があることを示唆している。