- 著者
-
菊池 秀哉
- 出版者
- 水文・水資源学会
- 雑誌
- 水文・水資源学会研究発表会要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.26, 2013
近年の気候変動に伴い,気温は上昇している.気温の変化の予測は各地とも上昇傾向にあり1),不確実性はどのくらいの温度上昇幅か,という大きさの問題だけである.しかし降水量の変化は非常に複雑であり,地域によって量も大きく増減するために不確実性はまだまだ大きいといえる.また,降水形態が雪から雨に変化し,また積雪も直ちに融解するため,積雪量は大きく減少し,季節の訪れが早くなり,融雪が早まり,融雪水量の減少が考えられる.実際に平成23年4月に岩木川水系において融雪洪水が生じ,新鳴瀬橋(弘前)地点における氾濫注意水位を上回った.また,暖冬傾向となり,積雪量が減少し,梅雨期の降水量も多い年と少ない年の変動が大きくなる.そうなれば渇水などの頻度が増える可能性が高いと考えられ,水不足が懸念される.実際に平成23年夏季に岩木川水系において渇水が生じた.目屋ダムの貯水位は平成に入ってから最低水位である160mを下回った2).したがって流量解析における積雪水量の推定が重要であると考えられる.しかしながら本研究で用いるSWEモデル3)は実測の積雪深データを使用し,同化する手法(section3-2)を用いているため,データ自体の不足や将来予測を行う際の積雪深データはないため,補う必要がある.そのため,推定式を導きたい.したがって,本研究は前段階として同化手法を用いて各積雪深観測地点における同化量(積雪水量差)を解析し,積雪量と標高,同化量の関係を評価した.