著者
町 岳 中谷 素之
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.322-335, 2014
被引用文献数
5

本研究では, 小学校5年生の算数グループ学習における相互教授法(Palincsar & Brown, 1984)の介入効果を, 学習課題達成度(分析1)・グループ学習への肯定的認知(分析2)・発話プロセス(分析3)により検討した。相互教授法による教示を行った介入群と, 自由に話し合いをさせた対照群を比較したところ, 介入群では学習に関連する深い発話が多く非学習関連発話が少ないことや, 学習課題の達成度が高く, グループ学習への関与・理解に対する認知が向上するといった, 相互教授法の介入効果が示された。次に児童を向社会的目標の高・低によりH群・L群に分割し, 児童の個人的特性と相互教授法介入との交互作用効果について検討した。その結果, グループ学習開始前には低かったL群児童のグループ学習への関与・理解に対する認知が, 介入群において向上した。また発話プロセスの分析からは, 相互教授法による話し合いの構造化によって, 向社会的目標L群児童では, 非学習関連発話が抑制されることで, グループ学習への関与が促されるという結果が見られた。またH群児童においても, 学習に関連する深い発話が促されるなど, より能動的な関与を促進する可能性が示された。

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