- 著者
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冨吉 満之
- 出版者
- システム農学会
- 雑誌
- システム農学 (ISSN:09137548)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.4, pp.159-166, 2010
- 被引用文献数
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農業や農村に関わる活動を行うNPO法人(以下、農業系NPO法人)の全国的な法人数および活動分野を把握する目的で、既存のデータベースを活用して法人を抽出し、活動目的による分類を行った。その結果、2008年7月時点で全国に943件の農業系NPO法人が存在し、全NPO法人(35,544件)の2.7%に当たることが明らかになった。活動目的から農業系NPO法人を18項目に分類したところ、研究・提言・教育(34.8%)、農業支援(31.4%)、交流・ツーリズム(29.6%)、農地・水・森林(28.6%)、環境保全型(有機)農業(21.6%)といった活動を行う法人が多数を占めていた。一方で、認証(2.8%)、文化財(3.8%)、新規就農(9.0%)に関する活動を展開する法人は少なかった。また、財務データから年間収入規模別に農業系NPO法人を分類すると、100万円未満の規模に最も集中し(47.3%)、500万円未満の規模の法人で全体の7割を超えている事が分かった。全NPO法人のデータと比較して、農業系NPO法人は小規模な団体が多い傾向が見られた。地理的分布に関しては、法人所在地から都道府県庁までの直線距離が10km以下の法人が全体の36%を占めていた。また、30km以内の法人で全体の6割を占めることになり、所轄庁から離れるほど法人数は少ない事がわかった。