著者
濵本 賢二 中谷 武
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.42-56, 2007

人口減少と高齢化が急速に進んでいるが,この傾向はこれからも確実に進行すると予測される.それに伴い,増大する社会保障支出に中長期的にどう対応するかが重要な政策課題となっている.本稿は,レオンチェフ型の投入産出構造に所得分配と消費支出を内生化したレオンチェフ・宮沢モデルを多世代型に拡張し,あわせて租税分析の測定方法を提案して,人口構成の高齢化の影響を定量的に明らかにする.具体的には,世帯主年齢を5歳刻みで9つの世代グループに区分して,各世代の消費関数を推計し,それを集計することでマクロ消費関数を構成して試算した.分析の結果,高齢化は消費性向の上昇をもたらし,生産,所得にプラスの効果を持つこと,また,政府支出の組み替えによって財政収支バランスと所得増大を両立させることが可能であることを示す.

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