著者
余田 翔平
出版者
The Tohoku Sociological Society
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.131-142, 2014

本稿の目的は2点ある.第1の目的は,家族構造と子どもの教育期待との関連を記述することである.第2 の目的は,両者の関連を説明する仮説,すなわち格差が形成されるメカニズムを検証することである.そのような仮説として,本稿では経済的剥奪仮説,役割モデル仮説,家族ストレス仮説,セレクション仮説を取り上げた.<br> 中学3年生とその保護者を対象にした社会調査データを分析した結果,以下の知見が得られた.まず,初婚継続世帯の子どもと比較して,非初婚継続世帯の子どもは総じて教育期待が低い.非初婚継続世帯の中の差異に着目すると,死別母子世帯,継親子関係を含まない再婚世帯では,子どもの教育期待は比較的高い.他方で,離別母子世帯や父子世帯,さらに継親子関係を含む再婚世帯では,教育期待がいずれも低水準にとどまっている.また,多変量解析によって非初婚継続世帯の形成と関連する要因を統制してもなお,家族構造の効果は残されていた.本稿の分析結果はおおよそ家族ストレス仮説と整合的であり,子ども期に定位家族が安定的であることが教育達成にとって重要であることが示唆された.

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