著者
山本 渉
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.279-294, 2015
被引用文献数
2

本研究の目的は, 中学校の担任教師が, 生徒・保護者への対応において, スクールカウンセラー(以下, SCと略記)の活動をどのように生かし, その結果どのような体験をしているのかを, 担任教師の視点からボトムアップ的に把握することであった。半構造化面接法にて収集された16名の中学校教師のインタビュー・データを, グラウンデッド・セオリー・アプローチを援用して分析した。その結果, 担任教師がSCの活動をどのように生かしているのかは, ≪担任のしづらい動きを担ってもらうことでゆとりを得る≫, ≪SCの情報や発言から生徒・保護者への理解を深める≫, ≪対応にあたってのガイドを得て判断の参考にする≫, ≪気持ちや考えへの保証を得て精神面の回復に役立てる≫の4つに整理されることが示唆された。これらのいずれか, あるいは複数の生かし方をした結果, 担任教師はそれまでよりも生徒・保護者に≪安定して対応できる≫ようになると考えられた。さらに, SCとの協働を経て≪安定して対応できる≫ようになることがきっかけとなり, 担任教師自身の≪対応スタンスの変化が促される≫場合もあることが示唆された。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト