著者
無藤 隆
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.407-416, 2013

本論文は,発達心理学が実践現場に役立つ可能性を,保育を例として検討する。特に,その問題を,研究が実践にどう役立つのかというより大きな問題の一部としてとらえる。発達心理学を含めた研究の進展が,実践と研究の関連を変えてきている。その中で,エビデンスベーストのアプローチがその新たな関連を作り出した。また,実践研究の積み上げを工夫する必要がある。実践を対象とする研究として,実践者自身によるものと,実践者と研究者の協働によるアクションリサーチ,そして研究者が実践を観察し分析するものが分けられた。さらに,関連する研究として,子ども研究全般,カリキュラムや指導法に示唆を与える研究,社会的問題に取り組む研究,エビデンスを提供する研究,理論枠組みを変える基礎研究,政策へ示唆を与える研究などに分けて,各々の特質を検討した。実践現場から研究を立ち上げることが重要だと指摘した。最後に,研究的実践者と実践的研究者の育成を目指すことが提言された。

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