著者
松永 由紀子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.371-376, 2015
被引用文献数
1

マイクロニードル(MN)は、皮膚中へ安全に薬剤を送達するDDS技術として近年注目され、医薬品分野においてはインフルエンザワクチンやインシュリン含有製剤の臨床研究が急ピッチで進んでいる。MNはステンレスやシリコンから成る生体内非溶解型と、ヒアルロン酸(HA)や糖類を主原料とする自己溶解型に大別され、いずれも微細な針がパッチ上に剣山状に並んだ構造を成す。 筆者らは有効成分が溶出しながら組織へ浸透するという自己溶解型MNの特性に着目し、HAを主成分とするMNの化粧品分野への応用可能性を検討した。目尻へ連用した結果、MNによる角層水分量や皮膚の粘弾性の増加によるしわ改善効果が見出され、本品を2011年3月に目元用化粧品「HA フィルパッチ」として医家向け専売ブランドNAVISION(ナビジョン)より上市した。本稿では自己溶解型MNの有効性について、HAの皮膚細胞へ及ぼす作用やしわ形成メカニズムとあわせて概説する。

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