著者
山添 康 永田 清
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.103-112, 2002-03-10 (Released:2008-12-26)
参考文献数
11

Genetic polymorphism of drug metabolizing enzymes such as cytochrome P450 influences individual drug efficacy and safy through the alteration of pharmacokinetics and disposition of drugs. Considerable amounts of data are now accumulated for allelic differences of various enzymes. Here, current understanding of genotype information is summarized for their use on individual optimization of drug therapy.
著者
内田 哲也
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.29-36, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
29

現行のワクチンは主として病原体表面の蛋白に結合する抗体の産生を誘導することを目的としているため,インフルエンザウイルスのように表面抗原の異なるウイルス亜型および変異体に対しては奏功しにくい場合がある.筆者らはウイルス内部に高度に保存された蛋白を標的とし,宿主のウイルス感染細胞を破壊・除去することのできる細胞性免疫(CTL)を誘導するリポソームワクチンを開発した.CTL誘導型リポソームワクチンはインフルエンザウイルスだけでなく,表面の抗原を頻繁に変異させるウイルスに対するワクチンの開発への応用が期待される.
著者
位髙 啓史
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.27-34, 2020-01-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
33

mRNA医薬は、合成されたメッセンジャーRNA(mRNA)を体内に直接投与して、mRNAによってコードされたタンパク質を標的細胞で産生させることによって、治療または予防を行う医薬品である。mRNAは細胞外環境で極めて不安定な物質であり、これを医薬品として有効に用いるためには、DDSの果たす役割は大きい。世界的には脂質ナノ粒子(LNP)が最も多く用いられるが、肝標的投与以外の目的に対しては、まだ多くの課題が残る。筆者らが開発を進めるナノミセル型キャリアは、局所での組織浸透性・安全性に優れ、細胞機能制御を目的とするmRNA医薬投与に優れた性質をもつ。本稿では、このナノミセル型キャリアの概略、および最近の治療応用研究を紹介する。
著者
青枝 大貴 石井 健
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.19-27, 2012-01-30 (Released:2012-04-27)
参考文献数
50

近年、自然免疫の分子機構が明らかになるにつれて、これまで経験則によって用いられていたワクチンやワクチンアジュバントの作用機序を科学的に理解することが可能になりつつある。本稿では、これまでに明らかになっている自然免疫応答による樹状細胞活性化とそれに伴う獲得免疫応答の過程、様々な疾患/病態に関与するTh1, Th2, Th17などの異なるCD4T細胞サブセットへの分化制御に自然免疫シグナルが及ぼす影響などについて概説し、抗原及びアジュバントを適切な樹状細胞に標的することによる次世代ワクチン開発の可能性について述べる。
著者
高橋 元次
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.433-441, 2007 (Released:2007-10-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

皮膚の生理学的性質を非侵襲的に測定する方法は皮膚計測工学の分野において数多く開発されてきた.それらは角層水分量,肌理,TEWL(経表皮水分蒸散量),皮膚色,血流,皮脂などであるが,最近,無侵襲で皮膚内部を観察する生体顕微鏡が開発され,物質の経皮吸収測定に活用されている.本稿では,in vivo共焦点ラマン顕微鏡と多光子顕微鏡を用いた測定例について述べる.
著者
山口 淳
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.457-460, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
35

NGF(Nerve growth factor)は, 元来, 感覚神経や交感神経の発達・増殖や機能維持に必須の因子として同定された. 近年, NGFは炎症性・炎症性疼痛などの慢性疼痛に深く関わることが明らかとなってきた. NGFの阻害薬は, 既存の治療薬が効かない多くの患者に対する新規の治療法と期待されている.本概説では, NGFが疼痛を惹起するメカニズムやその治療応用についてこれまでの研究報告をまとめる.
著者
民輪 英之 武田 真莉子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.10-19, 2020-01-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
34

難吸収性薬物の経粘膜送達を実現するための有用な戦略の1つとして、吸収促進剤の利用があげられる。この戦略に基づいた研究は1980年代から盛んに行われており、現在においてはペプチドやタンパク質といったバイオ薬物を対象として、吸収促進剤を含有する製剤の臨床試験が多数進行している。そのような中、2019年においては、Novo Nordisk A/Sが開発した世界初となる経口GLP-1(glucagon-like peptide-1)アナログ製剤が米国で承認されて話題となった。本製剤には、経口吸収促進剤サルカプロザートナトリウム(SNAC)が含有されている。バイオ医薬品産業がますます拡大すると予測されている今、注射剤以外の製剤オプションを提供できる吸収促進技術の開発に新たな注目が集まっている。そこで本稿では、特に経口バイオアベイラビリティの改善を目指した経粘膜吸収促進剤に焦点をあてて、現在の開発状況と安全性に関する最新の知見、そして今後の展望について紹介する。
著者
朝倉 こう子 濱﨑 俊光
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.235-245, 2015-07-25 (Released:2015-10-25)
参考文献数
10
著者
谷本 武史
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.15-21, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
18

従来のインフルエンザワクチンの接種経路は皮下・筋肉内のいずれかであり,その接種目的は,血清に液性免疫を誘導することによる重症化の予防に重点を置いたものである.これに対して感染防御を念頭に置いた場合,インフルエンザの感染経路は粘膜であることから,粘膜に免疫を誘導する手段として,経鼻・経口などのルートで粘膜へワクチンを接種し,局所免疫系を刺激することが有望と考えられる.そのなかでも,抗原の変性のリスクが少なく,接種抗原量を少なくできる経鼻吸収型ワクチンが注目されている.
著者
松﨑 高志
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.252-253, 2015-07-25 (Released:2015-10-25)
参考文献数
1
著者
清水 太郎 異島 優 石田 竜弘
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.199-207, 2017-07-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
51

補体系は、自然免疫系の1つであり、初期の異物認識機構で中心的な役割を果たしており、病原体だけでなく、人工のナノ粒子の排除にも深く関わっている。補体系の活性化(カスケード反応)に伴い、生物学的活性をもつさまざまな分子が生成され、異物の貪食や炎症反応を誘導している。ナノ粒子の物性に応じて補体の活性化の程度はさまざまに変化するため、ナノ粒子の予期せぬ体内動態変化や毒性発現が想定されている。このような現象はナノ粒子による薬物送達効率を低下させるため、ナノ粒子に対する補体活性化機構を理解することは、非常に重要である。一方で、補体活性化に伴う免疫活性化は、ナノ粒子を用いたワクチンへ応用することが可能であると考えられる。本稿では、ナノ粒子に対する補体活性化の負と正の両側面について紹介する。
著者
河合 弘二
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.530-536, 2007 (Released:2007-12-13)
参考文献数
28

抗がん剤を用いた膀注化学療法と膀注免疫療法はともに表在性膀胱がんの治療体系に組み入れられた標準治療であり,特にBCG(bacillus Calmette-Guerin)菌を用いたBCG膀注療法は現状では最もよく行われ,かつ臨床的有用性の確立したがん免疫療法である.膀注療法の最も一般的な適応は表在性膀胱がんに対する経尿道的切除術後の再発予防である.また,膀注療法は上皮内がんに対する治療としてもその有効性が認識されている.また,これらの膀注療法の最終的な目標は表在性膀胱がんから浸潤性膀胱がんへの進展を予防することにある.TUR後早期の単回の抗がん剤膀注による膀注化学療法は,低あるいは中間リスク症例に適応され,その有効性が証明されているが,維持療法に関しては評価は一定していない.BCG膀注療法は一般的に膀注化学療法よりも有効であるが,有害事象も多いとされている.しかし,複数のメタアナリシスによる解析ではBCG膀注療法が有意に浸潤性膀胱がんへ進展するリスクを低減しうることが示されている.本稿では,最近のメタアナリシスによる知見も含めて膀胱がんに対する膀注療法の現状について概説したい.
著者
井上 貴雄
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.10-23, 2016-01-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
35
被引用文献数
2

アンチセンス、siRNA、アプタマーに代表される核酸医薬品は、抗体医薬品に続く次世代医薬品として注目を集めている。現在、製薬業界では創薬シーズの枯渇が問題となっているが、核酸医薬品は従来の医薬品では標的にできなかった新規分子をターゲットにできる点において魅力的である。また、薬効本体がオリゴ核酸で構成されるという共通の特徴を有すること、有効性の高いシーズ(配列)のスクリーニングが他の医薬品と比較して容易であることなどから、1つのプラットフォームが完成すれば短期間のうちに新薬が誕生すると考えられている。本稿では、新たな局面を迎えている核酸医薬品の基本的性質と開発動向について概説する。
著者
黒田 俊一
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.251-258, 2017-09-25 (Released:2017-12-25)
参考文献数
5

2001年に経済産業省より「大学発ベンチャー1000社計画」が発表され、2004年末には約1,000社、2005年末には約1,500社が設立された。そのなかには、創薬系ベンチャーが大きなグループを形成し、DDS技術に特化したベンチャーも数多く存在したが、現在まで存続するものは少なく、存続していても創薬事業を放棄していることが多い。また、2011年以降、大学発ベンチャー設立が再燃しているが、IT系ベンチャーが主であり、DDS技術を含めた創薬系ベンチャーは少ないままである。本稿では、筆者らが2002年に設立したDDS技術をコアとする創薬系ベンチャーの現在までの経緯を概説し、アカデミア発創薬系ベンチャー(特にDDS技術系)の起業化・事業化の課題を指摘した後、今後の発展につながる提言を行いたい。
著者
高田 賢蔵
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.40-46, 2012-01-30 (Released:2012-04-27)
参考文献数
2
被引用文献数
1

我々の体内では微生物などの外来抗原に低濃度で繰り返し暴露されることにより、これら外来抗原に対する結合活性の高い抗体産生リンパ球が選択的に増幅する親和性成熟が常に起こっている。従って、ヒト血液リンパ球は高活性抗体ソースとして優れている。イーベックではヒト血液リンパ球にEBウイルスを感染させることによりその増殖、抗体産生を誘導し、そこから目的とする抗体産生リンパ球を分離し抗体を作製する独自の技術を開発した。本稿では、イーベックの抗体技術と製薬企業とのライセンス経験について紹介する。
著者
金山 洋介 新垣 友隆 尾上 浩隆 渡辺 恭良
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.328-334, 2013-09-25 (Released:2013-12-26)
参考文献数
18

生体分子イメージング技術は、薬剤開発における重要な技術となってきている。特にPET(Positron Emission Tomography)は高い感度と定量性、プローブの多様性から、病態の分子医学的把握による疾患診断、薬効評価を可能にし、合理的な薬物送達システム(DDS)の評価を行うことに役立つ。脳は高度な機能と複雑な構造を有し、薬剤や毒物の移行を制限する血液脳関門によって恒常性が保たれている。脳を標的とした薬剤の開発においては、非侵襲的に薬剤の脳内分布を解析可能な分子イメージング技術の必要性が高い。本稿ではPETを用いた血液脳関門における薬剤トランスポーター機能の解析、薬剤の脳内移行の視覚化と薬効評価の例を通して分子イメージングの有効性について概説する。
著者
小坂 展慶 落谷 孝広
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.125-133, 2014-03-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
23

がん細胞とその周辺細胞の密接な関係は、これまでサイトカインやケモカインなどで説明されてきた。しかし、その複雑な関係は複数種類の分子では説明がつかず、新たな相互関係が探索されてきた。最近、エクソソームと呼ばれる100nmの細胞外小胞顆粒の存在が再注目され、特に、がん細胞における役割が近年急速に解明されている。本稿では、がん細胞がどのようにしてエクソソームを悪用しているのかを述べるとともに、エクソソームを標的とした治療と診断の展望に関して述べる。
著者
今井 輝子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.48-53, 2007 (Released:2007-04-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

医薬品の開発においては,ヒト臨床試験に先立ち,動物実験で安全性・有効性が確認される.しかしながら,ヒトと実験動物の体内動態には相違があり,動物実験の結果をヒトに反映できないことがある.その原因の一つとして,主な消失過程である代謝の経路および速度がヒトと異なることがあげられる.本稿では薬物代謝の動物種差について説明し,ヒトにおける体内動態を予測するための試みを紹介する.
著者
東田 陽博
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.310-317, 2013-09-25 (Released:2013-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

オキシトシンは脳内に放出され、扁桃体をはじめとする「社会脳」領域を介して社会性行動、特に信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動に影響を与える。オキシトシン遺伝子や受容体、オキシトシンの脳内分泌を制御するCD38などがそれらの機能を司る。オキシトシンの鼻腔単回投与により健常人、自閉症スペクトラム障害者ともに、目を見るなどの対人関係行動の改善や促進があり、連続投与により、社会性障害症状の改善が報告されている。オキシトシンの末梢投与により、オキシトシンは脳脊髄液中や脳内へ移行すると思われるが、まだ十分な証拠はなく、移行の分子メカニズムを含めて、今後の研究が待たれる。