- 著者
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クリスチャン ジェン―レンデュ
吉田 実
- 出版者
- 紙パルプ技術協会
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.11, pp.1193-1197, 2015
製紙メーカーは多くの品質的な課題に取り組む一方,生産コスト削減のため様々なアプローチを行っている。このような今日の製紙業界の課題に対する新たな解決策として,BASF社は革新的な生産性向上剤ゼロレックスを提案する。<br>ゼロレックスはポリビニルアミンをベースにした製品である。あらゆる紙,板紙に容易に適用でき,抄紙工程のトータルコスト削減に大きく寄与できる。本製品は海外で多くの採用実績があり,アジア地域においても既に20社以上の採用実績がある。本製品はカチオン電荷を有するビニルアミン基とビニルホルムアミド基をあわせもつ。ビニルアミン基により疎水性物質を繊維に定着させ,ビニルホルムアミド基の存在により水素結合が増強し紙力が増大する。<br>本製品を抄紙工程に適用することによりわずか1製品で,定着,ろ水,歩留りの改善に加え紙力の向上も可能となる。それによって古紙のような安価な原料や填料の使用を増やすことができ,紙切れの減少,蒸気使用量削減,抄速アップといった生産性の向上が期待できる。このように本製品でマシンを最適化することによって,抄紙工程のトータルコストの削減が可能となる。