著者
沢田 篤史 野呂 昌満
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_35-1_46, 2015

ソフトウェアアーキテクチャの設計結果は,開発対象であるソフトウェアシステムの完成時における機能や非機能に関する様々な特徴だけでなく,実装や検証,保守など,他の開発プロセスに多大な影響を及ぼす.高品質のシステムを開発するために,アーキテクチャ設計を支援する技術は重要である.また,システムの品質を適切に予測し,管理を可能とするためには,設計結果としてのアーキテクチャと,その設計過程において行われた判断を文書化することも重要である.長期間にわたって運用されるシステムにおいては,アーキテクチャ設計に関連する文書と,要求仕様,設計,実装などの他のソフトウェア構成要素との間の追跡可能性が求められる.本稿ではまず,高品質のソフトウェアシステム開発におけるソフトウェアアーキテクチャの重要性について解説する.アーキテクチャ設計と文書化に関連し,アーキテクチャスタイル,パターン,関心事,ビューなどの諸概念についてそれらの意味的関連も含めて説明する.さらに,アーキテクチャに関する設計判断の文書化技術,追跡性管理と知識管理の技術,それらを支援するツールの動向を解説する.

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