- 著者
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塩入 俊樹
- 出版者
- Japanese Society of Anxiety Disorder
- 雑誌
- 不安症研究 (ISSN:21887578)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.29-39, 2015
社交不安症(障害)(SAD)は,社会的状況に対する過度でコントロールできない恐怖または不安が生じ,そのためそのような状況を回避し,著しい社会機能障害を呈する不安症である。本稿では,SADの薬物療法について,最近の知見を中心に述べる。メタ解析やRCTによるエビデンスによると,SADの薬物療法としては,SSRIとSNRI, そしてRIMAがプラセボに比し有意に効果があるとされている。しかしながらわが国ではRIMAは使用できない。また最近承認され,SADに最もエビデンスがあるSNRIであるベンラファキシンもSADへの保険適応がないことから,わが国でのSADの薬物療法の中心は,現時点ではSSRIとなろう。