著者
深井 喜代子 大名門 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.3_47-3_55, 1992

注射や採血などの針刺し時に生じる痛み(注射痛)を訴える患者に対処するために,三種類の看護的除痛技術実施中に,手背部痛点分布密度がどのように変化するかを調べた。被験者には88人の健康な学生(男27人,女61人,18-37才)を選んだ。痛点はタングステン製の刺激毛(直径140μm)を用いて測定した。反対側の手背マッサージにより,男の48.1%,女の60.7%で痛点数が減0少したが,男の48.1%,女の32.7%で逆に増加した。同側手背の蒸しタオルによる温罨法では,痛点は著しく減少し(男77.8%,女85.2%),氷嚢と冷やしたタオルによる冷罨法では,効果は更に大きかった(男85.2%,女91.8%)。以上の結果から罨法は注射痛に有効であること,またマッサージも一部の例では効果的であることが明らかになった。更にこのような看護的除痛のメカニズムについても考察した。

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