著者
平松 雅伸
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.195-204, 2016

2015 年8 月12 日夜,中国天津市の危険物倉庫で大きな爆発火災事故があり,消火にあたった数百人の消防士が殉職,負傷するとともに,多数の住民が死傷し,また,住宅建物設備の損壊も生じ,生活・生産・物流・環境汚染等の面で深刻な影響があった. 事故発生当初の速報としては,インターネット上を始め,かなりの情報が発信されていたが,直後から当局の情報管理や制限により,被害状況,調査の進捗や報告の状況,再発防止策が見えにくかった. 公開された事故情報やその後の調査報告書から見えてきたのは,事業者の法令遵守の逸脱や規制当局の違法許可,消防技術の教育不足等の課題であり,総合的にみて事業者の安全文化から社会構造までにわたり根の深い問題と捉えられた.

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