- 著者
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江草 智弘
佐藤 貴紀
小田 智基
鈴木 雅一
内山 佳美
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.127, 2016
森林小流域においては、地下水が流域界を越えて移動し、流量・水質形成に大きな影響を及ぼす。既存の地下水移動量を求める研究の多くは年水・物質収支を用いており、年より短い期間の移動量を求めた研究は少ない。短期水収支法は、「流量が同程度の2時点では、流域内の水貯留量の差は無視できる」と仮定する。その結果、2時点間の損失量(蒸発散量と地下水移動量の和)は期間降水量-期間流量によって算出される。本研究の目的は、短期水収支法を用い、年より短い期間の地下水移動量を明らかにすることである。我々は神奈川県丹沢山地に位置する大洞沢流域(NO1; 48ha, NO3; 7ha, NO4; 5ha)を対象とした。2010-14の5年間、降水量・流量の観測を行い、短期水収支法を適用した。今までの研究により、NO1では年間の地下水移動量が小さいことがわかっている。従って、我々はNO1の損失量は蒸発散量を表すと仮定し、NO3, 4の損失量からその値を減じ、地下水移動量を算出した。夏季を中心に、NO3では地下水が流域外に流出しており、NO4では逆に流入していた。いずれの流域でも期間降水量と地下水移動量に相関があり、降雨に伴う地下水位の上昇による地下水流入量の決定が示唆された。