- 著者
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柳田 邦玲雄
松本 武
岩岡 正博
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース
- 巻号頁・発行日
- vol.127, 2016
我が国には山間部,平地を問わず, 各地に山の神のための祭事,行事,儀礼,習慣など(以下,祭行事)が多様に存在する。人びとの信仰する山の神と生業とに関する研究では,林業と山の神との考察には至っていない。そこで,林業者の集団である森林組合において山の神はどのように信仰されているか,山の神のための祭行事の内容や山の神の特徴を通して明らかにすることを目的として,近畿地方にある89の森林組合を対象に電話調査を行った。その結果,88組合からデータを得て(回答率98%),所在地にマッピングし地域性の有無を明らかにした。88組合中32組合で祭行事が行なわれており,そのうち26組合には山に入らないという習慣があり,25組合には行事があった。また,祭行事を年に2回行う組合が5組合あった。祭行事の実施月は,5月にだけ行う1組合を除くと,11月,12月,1月の冬期であった。そのうち2組合では冬期と4月の年に2回行い,3組合では冬期に2回行っていた。祭行事の実施日は,奈良県,和歌山県の組合では7日,滋賀県,京都府,兵庫県の組合では9日であり,南部と北部に分けられた。山の神に「山の神」以外の名前はなかったが,21組合では女性格の神であった。