著者
山田 理恵
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.329_1-329_1, 2016

<p> 古戦場の舞台や合戦にまつわる伝説に因んで、綱引きが行われる県境の地域がある。また、経済的事情等により中止された県境綱引きもある。発表者は、伝統綱引きによる地域開発との比較において、地域の歴史や伝説を題材にした県境綱引きに着目し、現地調査および資料調査を行ってきた。本研究では、その一環として、鹿島(加賀市)の綱引き伝説が、県境綱引きとして現代に再生された事例について考察する。その伝説では、美しい鹿島の森をめぐり、加賀の女神と越前の男神がそれぞれ綱を作り鹿島に巻き付け引き合っていたが、なかなか勝負がつかなかったところ、男神の綱が切れ尻もちをつき鹿島は加賀の方に少し動き、男神の大きな尻もちの跡は北潟湖になったという。このような伝説に基づき、2015年10月、広域的な交流と活性化を目的として「第1回鹿島の森伝説 越前・加賀県境綱引き」が、北潟湖の湖畔、鹿島の森を望む「越前加賀県境の館」前(福井県と石川県の県境)で開催された。県境一帯を一つの地域としてとらえ、地域の伝説に登場する綱引きを現代に蘇らせたこの県境綱引きは、スポーツによる地域開発を考察するうえでの好事例と位置づけられる。</p>

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