- 著者
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北川 珠樹
- 出版者
- 公益財団法人 山階鳥類研究所
- 雑誌
- 山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.1, pp.41-54, 2014
- 被引用文献数
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マナヅル<i>Grus vipio</i>は,ツル科の中でも,最も絶滅の危ぶまれる種の一つであるが,その生態については,あまり知られていない。私は2011–12年にロシア南東部に位置するムラヴィオフカ公園においてマナヅルの繁殖生態の調査を行った。公園での産卵期間は4月18日よりはじまり25日間に及んだ。抱卵は雄雌が行い,1日あたり平均7.3回の抱卵交代が行われた。抱卵期間は33–35日で,孵化成功率は少なくとも56.3%と推定された。抱雛は雌のみが行った。観察した行動を11のカテゴリーに分けてまとめて,行動配分を調べた。雄雌間の各行動カテゴリーの時間配分には抱卵期,育雛期それぞれに有意差が見られた。抱卵期と育雛期の間の雄雌それぞれの行動配分にも有意差がみられた。こうした行動配分の違いと雛の生残性に関わる雄雌の行動の役割の違いの適応的意義については今後の研究課題としたい。