- 著者
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宮武 恭一
- 出版者
- 全国農業構造改善協会
- 雑誌
- 農業経営研究 (ISSN:03888541)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.1, pp.49-54, 2014
大規模稲作経営においては,米価低迷が続く中で,規模拡大を加速するとともに米の直接販売を強化する動きが広がっている(納口2005,西川2012)。しかし,米販売に関しては,改正食糧法の施行以降,単位農協も直接販売を進めるために,こだわり米の生産に注力しており,大規模稲作経営が米の差別化を図るためには,一層の工夫が求められている。そうした差別化製品の有力な候補として,JAS有機米がある。農水省の委託調査によると,農薬と化学肥料を削減した特別栽培米に関しては,卸売り・小売り・外食向けの場合,明確な高値傾向はみられず,消費者への直接販売の場合は,むしろ一般小売価格よりも安値で販売する傾向がある(食品需給研究センター2009)。一方,JAS有機米に関しては,一般米と比べて1.6倍程度の高値を維持しているからである(MOA自然農法文化事業団2011)。