著者
東川 浩二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.95-104, 2008

1986年のDavis v. Bandemer 判決において,合衆国最高裁は,政治的ゲリマンダの訴えに司法判断適合性を認め,政党単位でみた得票率と議席獲得率に大きな差が見られる場合,合衆国憲法の平等保護条項に反するという判決を下した。しかしながら,どれほどの差が見られた場合に憲法違反となるかについて,裁判所が,依拠し運用できる基準について多数意見は見られず,政治的ゲリマンダに違憲判断が行われたことは一度もないのが現状である。そこで,近年,州憲法の規定の活用や,区割り権限を州議会から独立した委員会に移譲するなど,最高裁による基準確定を待たずして,ゲリマンダを防止する取り組みが行われるようになった。これらは州の憲法を拠り所としている点で共通しており,2006年にも基準の確定に失敗した最高裁よりも,州憲法とそれを解釈する州の最高裁の役割に期待が寄せられている。

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