著者
東川 浩二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.97-107, 2009 (Released:2017-02-06)

我が国における選挙資金規制の問題は,いわゆる事務所費問題のように金銭の不正使用との関連で議論されることが多いが,合衆国では,選挙資金規正法は,政治活動の規模と質に直接影響を与えると考えられ,憲法が保障する表現の自由との調節をどのようにはかるかが問題とされてきた。この点について1976年の Buckley 判決で献金制限=合憲, 支出制限=違憲という定式を定めたが,規制が認められる範囲は徐々に拡大され,2003年のMcConnell判決では意見広告のための支出の制限も合憲とされるに至った。しかしながら2005年に2名の最高裁裁判官が交代すると,最高裁内部で判例変更をせまる意見が多数を占めるようになり,今や政治浄化よりも表現の自由を強化する方向の判決が相次いで出されるようになってきている。
著者
東川 浩二
出版者
金沢大学
雑誌
金沢法学 (ISSN:0451324X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.199-228, 2005-11-30
著者
東川 浩二 Koji Higashikawa
雑誌
法と政治 = The journal of law & politics (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.187(187)-229(229), 2019-05-30
著者
ブライシュ エリック 冨増 四季 駒村 圭吾 奈須 祐治 東川 浩二 Erik Bleich Tomimatsu Shiki Komamura Keigo Nasu Yuji Higashikawa Koji
出版者
金沢大学人間社会研究域法学系
雑誌
金沢法学 (ISSN:0451324X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.165-261, 2018-07

1. シンポジウム『ヘイト・スピーチはどこまで規制できるか』 企画・司会 東川浩二2. 基調講演「ヘイト・スピーチとは何か」 エリック・ブライシュ/ 東川浩二(訳)3.「ヘイトスピーチ事案における不正行為法・填補賠償法理の担う役割の再評価~京都・徳島事件を題材に、反差別(差別被害への共感醸成)の運動展開の文脈において」 弁護士 冨増四季4. ヘイトスピーチ規制賛成論に対するいくつかの疑問 ー憲法学的観点、政治学的観点、哲学的観点のそれぞれからー 駒村圭吾5. ヘイト・スピーチと「公の施設」 川崎市ガイドラインを素材として 奈須祐治
著者
東川 浩二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

言論規制は、例え犯罪防止目的であったとしても、言論の自由の侵害であると捉えられる。本研究では、言論規制が言論の自由を侵害することによって生じる害悪について検討し、そのような害悪が生じない場合での規制可能性について検討を行った。その結果、言論規制の害悪を萎縮効果との関連で論じることが多いことから、萎縮効果が生じない場合、例えば話者が当該言論を犯罪行為の一部として行っている場合には、規制が許容される余地があることがわかった。このことは、名誉毀損法における現実の悪意の理論で紹介されているものであり、今後、この法理の発展・応用を検討する必要があると結論した。
著者
東川 浩二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.95-104, 2008

1986年のDavis v. Bandemer 判決において,合衆国最高裁は,政治的ゲリマンダの訴えに司法判断適合性を認め,政党単位でみた得票率と議席獲得率に大きな差が見られる場合,合衆国憲法の平等保護条項に反するという判決を下した。しかしながら,どれほどの差が見られた場合に憲法違反となるかについて,裁判所が,依拠し運用できる基準について多数意見は見られず,政治的ゲリマンダに違憲判断が行われたことは一度もないのが現状である。そこで,近年,州憲法の規定の活用や,区割り権限を州議会から独立した委員会に移譲するなど,最高裁による基準確定を待たずして,ゲリマンダを防止する取り組みが行われるようになった。これらは州の憲法を拠り所としている点で共通しており,2006年にも基準の確定に失敗した最高裁よりも,州憲法とそれを解釈する州の最高裁の役割に期待が寄せられている。
著者
東川 浩二
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.97-107, 2009

我が国における選挙資金規制の問題は,いわゆる事務所費問題のように金銭の不正使用との関連で議論されることが多いが,合衆国では,選挙資金規正法は,政治活動の規模と質に直接影響を与えると考えられ,憲法が保障する表現の自由との調節をどのようにはかるかが問題とされてきた。この点について1976年の Buckley 判決で献金制限=合憲, 支出制限=違憲という定式を定めたが,規制が認められる範囲は徐々に拡大され,2003年のMcConnell判決では意見広告のための支出の制限も合憲とされるに至った。しかしながら2005年に2名の最高裁裁判官が交代すると,最高裁内部で判例変更をせまる意見が多数を占めるようになり,今や政治浄化よりも表現の自由を強化する方向の判決が相次いで出されるようになってきている。